公開延期、休館…コロナの影響直撃の映画業界 1カ月閉鎖なら200億円の興行収入が「消える」

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さらに洋画の大作を多く手がける別の宣伝マンは、テレワークに移行し、自宅から宣伝活動を続けているが、先が見えない悩みを次のように打ち明けた。

「本国の公開が延期になったことにより、日本公開もずれ込んでしまった。マスコミ向けの試写会も中止・延期になっていますし、そもそもイベントも打ち出せないため、宣伝プランが立てづらい。そして、この空白期間が、映画館の客足にどう響くのか心配だ。先が見えない日々が続くが、今は自分ができることだけをやって、再開したときに備えたい」

「オンライン」で活路

そんな中、「オンライン」で活路を開く映画配給会社が登場している。

地球環境問題や社会課題をテーマにしたドキュメンタリー作品を多く配給し、上映会なども展開するユナイテッドピープルは、4月2日に渋谷で開催予定だった新作ドキュメンタリー映画『もったいないキッチン』の完成披露試写会を中止。急きょオンライン会議システムのZoomを使った「オンライン試写会」に切り替えた。

ユナイテッドピープルではZoomを使った「オンライン上映会」のサービスを開始した (写真:ユナイテッドピープル)

この作品のプロデューサーでもあるユナイテッドピープルの関根健次代表は、「新型コロナウイルスの影響を受け、予定していた完成披露試写会と特別試写会が1週間で3度もキャンセルになった。しかし、このまま諦めるのではなく、新しい挑戦をしようと急遽Zoomを利用したオンラインでの完成披露試写会に切り替えました。

以前からZoomで映画上映ができるのではないかと考えていましたが、実際やってみると、ドキュメンタリーだからかもしれないが、上映中に参加者がコメントを寄せるだけでなく、チャット上での交流も行われた。新たな可能性を見出した試写会となった」と振り返る。

今回の試みについても「画質などの問題はあるが、十分上映会ができうるものと判断し、弊社が運営する上映会促進サイトcinemoでZoomオンライン上映会を解禁した。上映会は人が集まることを前提にしているため、新コロナウイルスの影響で開催が激減していましたが、リリース以降はオンライン上映会を開催したいとの申し込みが多く寄せられて来ている」と手応えを語る。

先が見えない新型コロナウイルスの脅威。しかし、映画関係者はさまざまな知恵を絞りながら難局を乗り越えようと努力し続けている。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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