「現金給付30万円」誰をどれほど助けられるのか 緊急事態宣言「休業手当」の位置づけにも注意

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しかしこれだけの貯蓄があっても、長期的なライフプランを考えればできれば安易に取り崩すのは避けたいものです。以前に老後2000万円問題が注目された際にも指摘されたように、有事がなくても長い人生にはお金がかかります。現役世代では住宅ローンや子どもの教育費など、大きな出費を何度も乗り越えていかねばなりません。

ましてこの先の見えない状況下で、予定されていた出費のために貯めていたお金を思いがけず取り崩さなければならない、また収入が減ってこの先は予定どおりに貯められなくなれば、新型コロナウイルスの感染が終息しても家計が苦しい状況は長く続くでしょう。目先の生活は自力でなんとかできる家計であっても、公的な支援がなければ負担が先送りされているだけかもしれないわけです。

仮にいまは給付金が貯蓄に充てられたとしても、長期的な生活の保障にはなりえない。その意味ではもう少し幅広く給付金を受けられたら、より多くの人が安心できたように思います。

緊急事態宣言で給付金と休業手当の「谷間」に注意

もう1つ懸念なのが、今回の現金給付と会社の休業手当の関係です。働いている人が会社都合によって自宅待機や休業を指示された場合には、会社は平均賃金の6割以上の休業手当を払わなければならないことになっています。休業手当は休んでいる期間中にわたって出ますから、受け取れれば生活の安定に役立ちそうです。

ただ、休業手当を受け取れるとしたら、休業前の6割以上の収入を得ることになります。休業手当は日割りで計算するため一概にはいえませんが、「月収が半減以下」を要件とする国の現金給付を受け取れなくなる可能性があります。

また国の現金給付は自己申告制です。申告の方法は今後整備されていくようですが、要件に該当するかどうかを自分で判断して手続きをしないと、お金は受け取れません。毎月の収入がほぼ一定なら、収入がいくらまで減ったら対象になるかをすぐに判断できるでしょうが、シフト制のアルバイトなどで毎月の収入が変動しやすい場合には判断がつかないかもしれません。

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