「現金給付30万円」誰をどれほど助けられるのか 緊急事態宣言「休業手当」の位置づけにも注意

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こうした事態でとくに心配なのが、貯蓄が少ない家庭です。同調査によると、2人以上の現役世帯のうち約13%は貯蓄が100万円未満です。働く人の10人に1人以上が、貯蓄がゼロか100万円に満たないわけです。

もしコロナショックで収入が大幅に減り、30万円の給付金を受け取ったらどれくらい生活の助けになるのでしょうか。単身の場合、生活費(消費支出)の平均は月18万円です。月収が8万円に減り、それまでと同じ生活を続けていれば10万円の赤字になります。給付金を受け取っても3カ月で底をつく計算です。2人以上世帯の場合は生活費の平均額は月32万円。減少後の月収が20万円としたら、赤字は月12万円。こちらも3カ月もたないと考えられます。

収入よりも貯蓄の少なさがリスクに

また、感染拡大の長期化が懸念されるいまは、収入よりも貯蓄の少なさがリスクになることも意識しておかねばなりません。

手元に貯蓄があれば、給付金と合わせてもう少し長期の赤字を補填できるでしょう。しかし貯蓄がなければ、目先の生活を回していくことも危うくなってしまいます。未知のウイルスの感染拡大が終息する見通しは専門家の中でもまだ明確になっておらず、この先、半年から1年近くかかるとの見方もあるようです。現金給付は複数回行うことも検討されているようですが、自粛や休業が長期化すれば、給付金も家計にとって焼け石に水になってしまうかもしれません。

政府が現金給付を全世帯への一律給付にせずに所得制限を設けたのは、給付金を貯蓄せず消費に回すよう、家計収支が逼迫している世帯を対象にしたいとの思惑がありました。その論理は理解できるものの、貯蓄を増やすことは決して悪いことではありません。

ファイナンシャルプランナーが個人の家計相談に対応するときにも、病気やリストラ、災害などの有事に備えて、まずは生活費の半年分から1年分のお金を貯蓄するようにアドバイスするのが一般的です。収入が高くても貯蓄がほとんどないと、仕事がなくなって収入が減るとたちまち生活が苦しくなってしまいます。ですから収入がいくらであれ、ある程度の貯蓄を確保しておくことは重要なのです。

もちろん、収入と貯蓄には相関関係があります。総務省の家計調査でも、年収が高い世帯ほど貯蓄の保有額が高いというデータがあります。2人以上の世帯の場合、年収200万円未満の貯蓄額は平均428万円に対して、年収500万円世帯の貯蓄額は860万円、年収1000万円世帯では2000万円弱と大きな差があります。

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