映画「コンテイジョン」が今ヒットする理由 描かれているのはまさに「新型コロナ」だ!

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また、映画の中で「人は1日に2000~3000回も顔を触り、起きているときには1分間に3~5回顔に触る」と畳みかける台詞を発したケイト・ウィンスレットは動画で手洗いを実践しながら「自分の命が懸かっていると思って、水と石鹸を使って手を洗って」と呼びかけています。ローレンス・フィッシュバーン、マリオン・コティヤール、ジェニファー・イーリーもそれぞれの役柄に合わせた切り口で対策を語りかけています。

このビデオメッセージに協力したコロンビア大学のチームこそ、映画で医療監修を務めた裏方の主役でもありました。医療現場の助言に基づいて作られている事実も相まって、『コンテイジョン』の話題はまだまだ広がっていきそうな勢いです。

動画配信サービスではNetflix、U-NEXT、Amazon プライム・ビデオなどで視聴可能です(4月9日現在。それぞれ配信期間が異なるため視聴の際は確認のうえご覧ください)。U-NEXTでは1月末から急激に伸びているとのこと。洋画ランキング1位(4月9日現在)を獲得しています。

ウイルスを扱った作品が注目を集めている

Netflixでは今年2020年1月22日から配信開始されたドキュメンタリーシリーズ『パンデミック~知られざるインフルエンザの脅威〜』も世界的に注目を集めています。インフルエンザ治療の最前線に立つ人々を紹介し、過去に起こった反ワクチン運動なども追った6話で構成されるドキュメンタリーです。

その中でワクチン開発に従事する女性が「次のパンデミックはもうすぐかもしれない。死者は数億人に上るかもしれない」と話す言葉を今の状況で聞くと、身につまされる思いにならざるをえません。

日本での公開は未定の作品ですが、カナダやフランス、ロシアではウイルスを扱った連続ドラマシリーズがヒットしていることが3月30日から4月2日まで開催されていたカンヌ発MIPTVオンラインイベントで発表されました。ロシアの『The Outbreak』は2019年11月にVOD展開から先行し、2020年4月から現地で地上波放送も始まったところ。11カ国語で翻訳されたベストセラー小説『Vongozero』を原作にした作品です。

2017年のカンヌ国際映画祭で「審査員賞」を受賞したアンドレイ・ズヴィャギンツェフ監督の映画『ラブレス』で主役を演じたマリアナ・スピヴァクが出演し、ウイルスによって死者の街へと変わったモスクワを舞台にした家族ドラマが描かれています。

時代に応じた作品が話題になることは世の常。今回の作品は過去の教訓から警鐘を鳴らして作られたものですが、今、世界中で起こっている危機的状況を見つめながら新たに作られる作品も今後世に出てくるでしょう。各国で中止されてしまっている制作体制が再び整えられたとき、見る者の行動を見直すきっかけになる作品がまた生まれることを期待しています。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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