老練スズキの危機感、GMからフォルクスワーゲンへ鞍替えの真意

老練スズキの危機感、GMからフォルクスワーゲンへ鞍替えの真意

したたかな転身である。スズキは、米ゼネラル・モーターズ(GM)に代わる提携先に、欧州最大手のフォルクスワーゲン(VW)を選んだ。2006年にGMから買い戻した金庫株19.9%を第三者割り当ての形でそっくりVWに譲渡。経営に大きな混乱もなく、販売台数でトヨタ自動車を抜く世界最大の自動車企業グループに名を連ねることになった。

昨秋から世界を襲った自動車危機にも、スズキは他社に先駆けて在庫圧縮を進め、コストも絞り上げて赤字転落を免れた。販売台数230万台は独立独歩を貫いていいレベルにある。それでも「開発分野では後れをとっている」という不安は、鈴木修スズキ会長を静かに苦しめていた。

その点、VWのハイブリッドカーや電気自動車は実用化が目前の段階にあり、エコカーに欠かせない高性能電池でも三洋電機、東芝などの供給先を確保している。9日の提携発表会見で鈴木会長は「車体軽量化でも力を借りたい」と貪欲に期待感を表した。

死守する独立路線

2社とも小型車を得意とし「同じような大きさで、同じような大きさのエンジンを搭載した車を造っている。部品共通化による大量生産のメリットは非常に大きい」(鈴木会長)という判断もあったようだ。普及車の1台当たり粗利は知れている。大量生産・販売ができて初めて経営が成り立つのが自動車ビジネス。似た車がなかったGMとの提携と今回は、その点が決定的に異なる。

しかも、出資比率19.9%なら、スズキはVWに連結化されない。当然、役員派遣もない。スズキ側もVW株を最大2.5%持つ計画で「VWとはイコールパートナー。(将来)ドイツから経営者を迎え入れなければならないほど、うちはヘボばかりじゃない」と牽制してみせた。

ただスズキを手放したくないVW側が株買い増しに乗り出す可能性は否定できない。「何もVWの12番目(正確には11番目)の子会社になるわけじゃない」。会見では鈴木会長はこうも強調したが、VWからは資本関係拡大を否定するコメントは出なかった。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • あふれる独自性 ニッポンのすごい研究者
トレンドライブラリーAD
人気の動画
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
人望のない人は「たった一言」が添えられない
人望のない人は「たった一言」が添えられない
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
漂流する東芝<br>舵取りなき12万人の悲運

再出発したはずの東芝の漂流が止まりません。再建請負人の車谷暢昭社長が電撃辞任。緊張感が増すファンドとの攻防や成長戦略の構築など課題は山積しています。従業員12万人を超える巨艦企業はどこに向かうのでしょうか。

東洋経済education×ICT