ここで、日本の3月29日(日曜日)のデータを見てみましょう。例えば、「小売り・娯楽施設」は-26%、「駅」は-41%となっています。これは、「小売り・娯楽施設」と「駅」の混雑状況が、過去5週間と比べてそれぞれ26%減少、41%減少したということです。
対して、「住居」は+7%、同じ比較で混雑が7%増加しています。外出が少なくなって、家にいることが多くなったと推測することができます。外出自粛やテレワーク促進が反映されていると思われます。東京都に限って同じ日の混雑状況の変化をみると、「小売り・娯楽施設」は63%減少、「駅」は59%減少、一方「住居」は14%増加しています。他県に比べて感染者数が多いことが人々の行動に影響を与えている格好です。
イタリア北部は9割前後の減少
参考までですが、極めて深刻な状況に陥っていると言われるアメリカ・ニューヨーク州の3月29日の混雑状況は「小売り・娯楽施設」が62%減少、「駅」が68%減少、「住居」が16%増加となっています。2月に都市封鎖されたイタリア北部のロンバルディア州の同日のデータは「小売り・娯楽施設」が95%減少、「駅」が89%減少、「住居」が24%増加となっています。
言うまでもなく、『COVID-19 コミュニティモビリティレポート』のデータ元として利活用されているのが、グーグルマップの位置情報です。グーグルアカウントをお持ちの方は「データとカスタマイズ」という画面を開いてみてください。そこから「アクティビティとタイムライン」のページへ移動すると、設定次第では、検索や視聴の履歴といっしょに、何月何日のおおよそ何時何分にどこを訪れたのか、その訪れた地点の位置情報やその行程といった移動履歴が記録されていることがわかります。
レポートの作成に利活用されているのは、個人アカウントでのこれら位置情報、移動履歴の記録がオンになっているユーザーから収集される、匿名化されたデータセットというわけです。もちろん、これによって個人の氏名や連絡先、位置や移動状況が特定されることはありませんし、グーグルのプライバシーポリシーに則ったデータの利活用となっています。
ここで、グーグルは何の会社か、あらためて押さえておきましょう。まず、グーグルは世界の検索市場で9割以上のシェアを獲得していることから、「検索の会社」と見なすことができます。検索サービスそのものは無料ですが、検索サービスなどに紐づく広告収入がグーグルの売上高の8割以上を占めています。その点、グーグルは明らかに「広告の会社」なのです。
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