サービス業は「日本の低生産性」の主犯ではない 「サービスはタダ」と低生産性には関係がない

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平均従業員数が1.47倍、生産性が1.53倍。平均従業員数に比例して生産性が高くなっている姿が見事に表れています。

日本のサービス業の規模はアメリカのわずか26.7%

日本のサービス業の生産性が低い根因は、企業の平均規模が小さいからです。チップの文化がない、再配達をしているなどの特徴は、生産性が低い原因とは言えません。

企業の規模が大きくなるとサービスのクオリティが下がると言い出す人が出てくるかもしれませんが、まったく論理的ではありません。仮に、日本のサービス業の企業の従業員数の平均が、11.7人から17.2人になったとしても、サービスのクオリティが下がる必然性はないと思います。雇用が減ることもないでしょうし、細かいサービスができなくなるわけでもないでしょう。

さらに言うと、「規模の経済」という経済学の理論に基づいた科学的な根拠がある以上、日本のサービス業の生産性が低い原因を諸外国との文化の違いや国民性に求めるのは、まったくの的外れです。そういう抽象的な説明は、俗説的な感情論にすぎません。

日本のサービス業の生産性が低い本当の理由は、サービス業の企業の規模があまりにも小さいからです。日本のサービス業の1社当たりの従業員数は、アメリカのわずか26.7%です。だから生産性が低いのです。一方、製造業はアメリカとの比較でも、77.8%なので、あまり差が出ていないのです。

EUの分析によると、日本企業の平均規模はEUの先進国より23%も小さく、アメリカより40%も小さいのです。日本の生産性が低いのは、企業の規模が小さいから、それが主たる原因です。

ではなぜ、サービス業の企業の規模は小さいのでしょうか。それはこの連載で後ほど明らかにしていきますが、「日本人の価値観」などという抽象的な原因ではないことだけは、先に申し上げておきます。

デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長

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David Atkinson

元ゴールドマン・サックスアナリスト。裏千家茶名「宗真」拝受。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くリポートを発表し注目を浴びる。1998年に同社managing director(取締役)、2006年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り、2007年に退社。1999年に裏千家入門、2006年茶名「宗真」を拝受。2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社入社、取締役就任。2010年代表取締役会長、2011年同会長兼社長に就任し、日本の伝統文化を守りつつ伝統文化財をめぐる行政や業界の改革への提言を続けている。

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