ただ、「インターネットを介した葬儀社紹介会社を利用する顧客は、価格志向が強く、葬儀を簡単に済ませようという浮動客が多いのでコロナによる影響を受けやすい。そのため、葬儀紹介会社と提携している葬儀社も影響を受けやすい。これに対し、地域の人たちとつながりのある顧客を対象にしている街の葬儀社は、葬儀紹介会社と提携している葬儀社ほどコロナの影響は受けない」(葬儀社)との声もある。
そこで筆者は、3月21~22日に、多くの葬儀社と取引のある返礼品や料理などを扱う複数の業者に電話でリサーチしてみた。すると、取引のある葬儀社のうち、注文件数が減少している割合は、「9割近い」「7~8割」「7割はある」との回答だった。
リサーチ数は限られるので断定はできないが、鎌倉新書が調査した3月10~14日の時点より、参列者数が減少している葬儀が増えていることがうかがえる。
小規模化に拍車
参列者数が減少している実状について、東京を中心に年間3400件を超える葬儀を施行している東京葬祭の尾上正幸取締役は、「数字を見ると葬儀件数はあまり変わっていない。それなのに返礼品と料理の売上が減少しており、参列者数が減っていることがわかります。葬儀は以前から小規模化してきていましたが、コロナの影響が加わって驚くほど小規模化してきています」としたうえで、参列者数減少の要因について次のように分析する。
「人が集まるイベントの自粛要請がなされ、学校が休校になるなどによって、人々がコロナの影響の大きさを認識するようになりました。さらに、コロナに感染した人数や死亡者数、コロナの危険性などをマスコミが連日報道することにより、コロナに対する防衛意識が一気に高まりました。
しかも、葬儀に参列するのは高齢者が多い。コロナに感染すると、高齢者ほど重症化しやすいと言われていますので、感染防止のために葬儀への参列を控える高齢者などが増えたということでしょう」(尾上取締役)
そのため、今回のコロナの影響によって、地域や会社関係などの人が参列する一般葬だけではなく、親族や故人と親しかった友人などが参列する家族葬や、親族だけで行う法事も参列者数が減っていると尾上取締役は言う。
葬儀の特性をあげるのは葬儀社S社だ。
「葬儀は、遺体があるので結婚式のように延期するのは難しい。遺体を長期間安置しておける安置所に預けたり、遺体を腐敗させないエンバーミングを施したりすることにより、コロナの収束を待つという方法もあるが、お金がかかる。また、遺体のままにしておくというのは日本人にはなじみがなく抵抗がある人が多い。
一方で、葬儀は安く簡単に済ませたいと思っている人たちにとっては、コロナを理由に簡単に済ませても親戚や故人の友人などにも言い訳が立つ。こうしたことから、通夜や告別式を行わない直葬も増えている」(S社)
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