コロナに感染した父に「さよなら」を言うべきか

「愛する人がいない未来」に対する心の準備

妻のバレリー・コールヴィルさんと談笑するリック・ニーレンバーグ医師(写真:Courtesy of Amelia Nierenberg/The New York Times))

月曜日の午前5時ごろ、私は父を車でニュージャージー州のハッケンサック大学医療センターへ連れて行った。父はそこで救急医療室の医者をしている。父は後部座席で眠っていた。かつて父が私を学校へ送ってくれていたときに私がそうしていたように。新型コロナウイルスで体が憔悴しているのだ。

先週父が熱を出し、筋肉痛と咳が出るようになって以来、私たちは、普段は父が母と寝ている寝室で、互いに6フィート(約180センチメートル)の距離を保ちながら過ごしていた。父が寝ているときは、私は床にあぐらをかいて仕事をする。父が起きているときは、デビッド・セダリスの本を読んで聞かせ、楽しかった家族旅行の思い出などを語り合う。数日前の夕食には我が家の最高級ワインの1本を開けた。またやろう、と彼は冗談を言った。

「どうやら思ったより大変なことになりそうだ」

今のところまだ、「あなたはどんなに大切な存在か」とか、「母さんを大事にしてやって」的な会話はしていない。それも私たちには必要ない。父はまだ68歳であり、彼が死んだりすればそんな瞬間は思い出したくもない。

むしろ、思い出せる限りのすべての日常の日々を懐かしむことになるだろう。夕飯を食べたり、互いに本を読み聞かせたり、静かに何も言わずにいる時間を共有したり、そんな普段のことを。だから、私は父へ別れを告げる方法としてこれを書くことを選びたいと思う。

「どうやら思ったより大変なことになりそうだ」と父は言った。「準備をしておかないといけないね」。

父はすべて承知のうえでそう言っている。何週間もの間、コロナウイルスの感染患者を治療してきたのだ。父は、戻ってくることを知りながらも患者たちを家へ返した。ほかの患者たちには喉に管を挿入し、酸素吸入器を取り付け、呼吸を楽にしてやった。水がたまった肺が酸素を吸収できなくなり、亡くなっていく人々を見てきた。1週間前まではこうした患者たちも元気だったのだ。

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