東野幸治「人生も笑いも正解がないから面白い」

「マイナー芸人」たちの世にも愉快な人生劇場

東野幸治が売れない芸人に注目する理由とは?(写真:ヒダキトモコ)

東野幸治(敬称略)によるエッセイ集『この素晴らしき世界』(新潮社)が発売された。下記は、本の中で登場する「千の顔を持つ男、天津木村」から抜粋したものである。

“一世を風靡して人気者になり、エロ詩吟を吟じれば皆が笑い、エロ詩吟本を出版すれば10万部を超える大ヒット。この世の春を謳歌しました。忙しくてピンクの着物を電車に忘れて、私服で生番組に出演し、吟じたこともありました。ユーミンさんがラジオ番組で「エロ詩吟が大好きだ」と告白して、夢の共演もさせていただいたりしました。いつまでもこの夢が続くと思ってました。「自分だけは今までの一発屋芸人とは違う」と。
しかし、『平家物語』の一節である“盛者必衰の理をあらわす”の通り、次第に笑いは拍手に変わり、あれだけ笑っていた下ネタに拒否反応を示して、観客のお母さんの中には子供の耳を押さえてエロ詩吟を聞こえないようにする人も出てきました。徐々に仕事が無くなっていき、まるでベテランパイロットの操縦のように少しずつ高度を落として綺麗に着陸……。遂にゼロになりました。”

ひしひし伝わる芸人の“もののあはれ”

独自の目線で、31人に上るよしもと芸人の横顔をつづった本書だが、中には横顔というにははばかられるような“おかしみ”や“せつなさ”が描かれている。なんというか、芸人の“もののあはれ”がひしひしと伝わってくる。

「新潮社さんからすると、もっとビッグネームを書いてほしかったと思うんですよ。『ダウンタウンさん、書いてくれませんか?』とか、『ナインティナインさんどうですか?』とかあったと思うんですけど、えらいもんでうちのマネージャーは一切それを言わず。最終的にリットン調査団、中山功太、三浦マイルドなどになってしまいました。これは本当に申し訳ないとしか言いようがない(笑)」

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