丸紅が大赤字に転落、商社を覆う資源安の暗雲

資源ビジネスに迫り来る巨額減損のリスク

足元の原油価格は、年初に比べ半分以下の1バレル20ドル台(WTI)で推移している。原油相場の大幅な変化を受けて、長期の価格想定や事業計画を見直したことで巨額減損が発生した。今回の減損で丸紅はメキシコ湾プロジェクトの想定原油価格を引き下げた。従来の想定価格は明らかにしていないが、新たな想定原油価格は1バレル39ドル(2020~2023年度の平均価格)だ。

現状の1バレル20ドル台という価格は産油各国にとって生産コストに見合う水準ではない。そのため、どこかのタイミングで産油国は原油価格の回復を図るために減産へ動き出すとみられる。

協調減産へのカギを握る2国の財政均衡価格は、サウジが1バレル80ドル、ロシアが1バレル40ドル程度とされ、少なくとも40ドルより高い価格を目指して2国が主導する形で協調減産を再開する可能性がある。そうした意味では、2020~2023年度を1バレル39ドルとした丸紅の事業計画は、これ以上の減損を回避する慎重な見立てと言えそうだ。

かつても資源事業の大幅減損

丸紅に続き、三井物産も700億円程度の損失が出る可能性があると3月27日に発表した。損失の過半を占めるのは石油・ガス開発事業で、アメリカのシェールガス・オイル事業やイタリアのテンパロッサ油田などが減損対象になる。

「資源商社」とも称される三井物産は、石油・ガスの持分生産量が日量25万2000バレルと丸紅の約7倍(2018年度時点)。それぞれの油田の採算性や事業計画における従前の想定原油価格などから減損金額も変わってくるとみられ、原油急落に関しては丸紅に比べて三井物産の傷は浅くて済んだといえる。

商社の資源事業の大幅減損というと2015年度の悪夢が思い起こされる。2014年秋に1バレル100ドル弱だった原油価格が2016年1月に30ドルを割り込むなど資源バブルの崩壊に端を発し、三菱商事や三井物産が初の赤字を計上した。

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