このときは銅事業による減損も大きかった。銅価格(LME)は2011年のピーク時に1トン当たり1万ドルをつけていたが、2016年1月には4300ドル台と半値以下に下落。当時、三菱商事はチリの銅事業で2710億円、三井物産も銅事業で1180億円の減損を計上した。
現在もコロナ影響で銅価格が下がっている。年初は1トン当たり6200ドル前後あったが、今は4700ドル台へ2割ほど下落した。今回の丸紅の減損にも、チリの銅事業が600億円ほど含まれている。
資源安のほかにも損失の懸念が
今後、原油価格の低迷や銅価格の下落が続くようだと、ほかの商社でも減損発表が相次ぐ可能性もある。ただし、減損に至るか否かは、会社によって事業計画の前提にしている資源価格や権益取得額といった条件が異なるため一概にはいえない。過去に減損し、すでに事業資産の簿価が小さくなっている場合もあるからだ。
資源ビジネスでは、市況悪化以外にもコロナ影響の懸念がある。3月26日に住友商事は、ボリビアの銀・亜鉛・鉛事業、マダガスカルのニッケル事業の操業を一時停止すると発表した。
両国とも新型コロナウイルスの感染拡大防止のため外出禁止令などが出されており、操業再開がいつになるか見通せていない。操業停止が長期に及べば、減損に至る可能性もある。住友商事の事例に限らず、各商社が投資している海外の権益での操業が停止するリスクはくすぶる。
2015年度の資源バブル崩壊による大赤字の反省から、商社各社は資産の入れ替えなど市況悪化に強い資源事業確立に努めてきた。コロナショックという未知のリスクが増幅する中、その耐久力が問われることになる。
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