コロナで導入「在宅勤務」をうまくまわすコツ 従業員のパフォーマンスを下げないためには
つまり、在宅勤務をうまく機能させるためには、もともとクリアすべきハードルが存在することを意味する。ましてや今回のコロナ対策としての在宅勤務の導入では、事前に準備する間もなく、走りながら舵取りを調整しなくては、生産性の低下などの懸念が現実のものとなる可能性があるといえる。
改めて、一般論としての在宅勤務によって、働く環境がどのように変化するのか、その期待される長所および懸念される短所を整理してみよう。
在宅勤務の長所と短所
● 働く環境を自分の都合に合わせて調整することによる生産性の向上
● 育児・介護などの家庭の事情を理由とする退職の抑制
● 通勤時間の削減などを背景に時間に余裕が生まれ、ワークライフバランスが向上
● オフィス費用(スペースの確保、光熱費など)の削減
● オフィスと比べ、個人の家庭環境によっては生産性が下がる可能性
● 仕事場所と家庭が一体化することで、ワークライフバランスが崩れる可能性
● 組織として、各従業員の勤怠管理、業務進捗管理のしにくさ
● 直接対面していることで生まれる連帯感、インフォーマルな相談や情報共有などのコミュニケーションの喪失、業務の質の低下
もともと働き方改革における「テレワーク」は、生産性を引き上げる効果があるものとして奨励されている。しかし、実際は一筋縄では行かず、会社のほうが、機器・ツール、情報へのアクセス、ほかの従業員との連携などの観点から就労環境として整備されていて、生産性が高く働けると感じる従業員も少なくないだろう。
家庭で職場と同等の環境を実現するためには、IT技術の力を借りることが必須となるが、従業員はさまざまなツールの操作方法・機能を使いこなす必要がある。
会社の共有サーバーに外部からアクセスできない、慣れていない会議システムで音声や画像の共有がうまくいかないといった問題のほか、手元に保管しておきたい情報のプリントアウト、情報セキュリティーの徹底など、ちょっとしたIT関連のトラブルが積み重なるだけでも従業員がフラストレーションを抱える可能性が考えられる。現代人の仕事の多くは、IT環境の良しあしによって効率が大きく左右されるからである。
また、皮肉なことに、職場と家庭が一体化することで、仕事と私生活の区切りが曖昧になり、家にいながらも仕事に振り回される感覚に陥る人も少なくない。ワークライフバランスを自律的にコントロールできるか否かも重要な課題である。
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