コロナで導入「在宅勤務」をうまくまわすコツ 従業員のパフォーマンスを下げないためには

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まずは、従業員に対するケアを優先することだ。会社からのメッセージの中で、従業員およびその家族の健康・安全が最優先であることを明確に伝えるのである。日常生活の中で外部との接点が弱くなっているという従来にない状況下で、人々は漠然とした不安を抱いており、経営陣やリーダーが従業員をしっかりとサポートする意思を示すことから始めるべきである。不安感の軽減により、従業員は仕事に集中することができるようになる。

従業員の声に耳を傾ける仕組みを整備することも必要だ。普段とは異なる就労環境において、従業員はこれまでにない業務上の問題に気付くはずである。直面する問題は、各従業員が担当する業務や組織内における立場によっても異なることから、組織横断的に従業員の声をタイムリーに収集する仕組みを導入することが望まれる。

従業員の声をまめに拾うには

例えば、後でまとめて意見を収集しようとすると、忘れてしまったり書くのが面倒になったりということもあるため、従業員が思いついたときに、気軽に意見を書き込むことができるオンライン上の提案箱のような仕組みを利用する企業もある。

また、従業員の声を集めることが従業員の負担にならないように、少数の設問項目からなる簡易な調査を短期間で繰り返すパルス調査を行うなど、声を収集する手法を工夫する企業もある。

最近行った弊社の調査では、変革期にこそ、高い頻度で従業員の声を集めるほうが、エンゲージメントが高まる傾向が確認されている。もちろん、改善のためのアクションを取らなくては意味がない。

全社レベルの取り組みに加え、各組織が日常業務を円滑に遂行するためには、管理職が重要な役割を果たさなければならない。従業員同士の連携を促進するとともに、指摘された問題に対処できるかは、管理職のリーダーシップにかかっているといっても過言ではない。

組織のビジョンをしっかりと部下に伝え、彼らを巻き込みながら課題解決のためのアクションプランを策定・実行していくことができるリーダーシップ開発のためのトレーニング、課題や施策を多面的に検討する力を養うローテーションなどは、中長期的なマネジャー育成施策として従来以上に有意義であると思われる。

平常時以上に、日々の始業から終業までのスケジューリングを明確にする必要もある。例えば、短時間であっても毎朝のビデオ会議で、その日に完了しなくてはならない業務の確認、顕在化しつつある課題の確認をすることで、チームとしての一体感が保たれる。

同時に、仕事と家庭の線引きをすることで両者のバランスが崩れることを回避できる。それ以前の問題として、出社しているときと同様に個人にコンタクトできるよう、メール、ビデオ会議、携帯電話など、複数の連絡方法を関係者同士で共有しておくことも基本的対応となる。

市川 幹人 クアルトリクス EXソリューション ストラテジー ディレクター

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いちかわ みきと / Mikito Ichikawa

シンガポール国立大学経営大学院修了(MBA)。住友銀行(現三井住友銀行)入行、国内支店・ニューヨーク支店勤務を経て三菱総合研究所に入社。三菱総合研究所では、経営計画策定や新規事業開拓支援コンサルティングのほか、産業・市場・顧客調査、アジア経済動向分析を担当。

その後、ヘイグループ(現コーンフェリー)日本支社にて、従業員意識調査チームを立ち上げる。2020年にクアルトリクスに入社、リサーチ、コンサルティングの経験をベースに、従業員エクスペリエンス分野におけるエキスパートとして、従業員意識調査活動の推進支援のほか、EX領域に関する情報発信などを担当。主な共著・訳書に『勝ち組企業の選択力』など。

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