コロナで情報錯綜「イブプロフェン」何に注意か さまざまな症状に効くが副作用も知っておこう

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NSAIDs服用中に急性腎障害を起こすリスクとしては「脱水」のほかに「発熱」「食事量の減少」「誤って多量に服用した場合」「ほかの併用薬がある場合」などが挙げられる。想像してみると、いずれのリスクもNSAIDsを服用するときに同時に起こりそうな状況だ。

では、いったいどのようにして腎臓を守ればいいのだろう。厚生労働省が公表している「重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性腎障害(急性尿細管壊死)」によると、急性腎障害は多くの場合は原因を取り除くことで進行を止め、改善させることが可能だという。しかし、中には受けたダメージがもとに戻らない場合もあるため、急性腎障害が起きるリスクを知って、予防に努めたり、早期発見・早期治療に結びつけたりすることが大切だ。

腎臓を守るために誰にでも取り組めることは2つある。まず、併用薬等の薬のことで心配や疑問があれば遠慮なく薬剤師に相談するということ。もう1つは脱水予防のために水分をしっかり摂るということだ。

飲み水だけに注意していてもダメで、食事の量にも留意するのがポイントだ。なぜなら1日に必要な水分2.5Lのうち飲み水から摂取する分が1.2L、それに匹敵する1Lが食事に由来するためだ(残りの0.3Lは体内で作られる)。体調不良で食事が摂れないと、気がつかないうちに水分不足に陥るおそれがある。

発熱するなどして体調が悪いときには「のどの渇きを感じる前に」を目安に、こまめに水分を摂ることを心がけるといいだろう。体の中から体重の約1%の水分が失われると自覚症状として「のどの渇き」が現れると言われている。

アセトアミノフェンの服用リスクは?

このようにNSAIDsの服用にはメリットだけではなくリスクもある。ではWHO が自己判断でのイブプロフェン服用を避けるよう呼びかけていた際、代わりに使用することを勧められていた解熱鎮痛薬「アセトアミノフェン(国際一般名称:パラセタモール)」はどうなのだろう。服用にリスクはないのだろうか。

結論から言うとアセトアミノフェンにも服用にリスクはある。アセトアミノフェンは解熱作用と鎮痛作用をもつ薬で、炎症を抑える力はあまり強くない。NSAIDs とは異なる仕組みで熱を下げたり痛みを和らげたりする作用を発揮すると考えられており、NSAIDsで問題となる消化管などの副作用が少ないとされている。

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