コロナで情報錯綜「イブプロフェン」何に注意か さまざまな症状に効くが副作用も知っておこう

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NSAIDsを飲むと胃がムカムカすることがある。これはNSAIDsによって胃粘膜を保護する力が低下したり、NSAIDsが直接粘膜にダメージを与えたりして起きるとされている。このうち、粘膜に直接及ぼされるダメージは胃の中に食べ物があることによって軽減すると考えられている。だから胃を守るために、薬剤師は口を酸っぱくして「なにか食べてから」と訴えるのだ。

「食欲がない」「胃がムカムカする」といった症状は胃の粘膜へのダメージが軽いうちにみられる症状で、ひどくなると胃や十二指腸の粘膜が傷ついて胃潰瘍や十二指腸潰瘍になって、そこから出血することがある。

厚生労働省が公表している「重篤副作用疾患別対応マニュアル 消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、急性胃粘膜病変、NSAIDs潰瘍)」によると、胃潰瘍の自覚症状としては一般的に上腹部を中心とした疼痛がみられるという。ところがNSAIDsによる潰瘍の場合、NSAIDs自身が発揮する鎮痛作用のためか痛みを自覚症状として感じる頻度が低いとされている。

したがって早期発見には、一般的な自覚症状であるみぞおちの痛みをチェックするだけでは見落としてしまう可能性がある。便が黒くないか、出血による貧血でめまいや労作時の息切れはないかといった症状についても気に留める必要があるだろう。

「でも潰瘍なんて、長い間NSAIDsを飲んでいる人だけの話でしょう? たまにしか飲まない自分には関係ない」と思った人がいるかもしれないが、油断は禁物だ。

NSAIDsによる潰瘍が起きやすい時期は服用初期、とくに最初の1週間に起きることが多いとされている。風邪を引いて熱が出たときや、頭痛がしたときなど、ほんの短い期間だけ服用するようなケースにも起こりうる。

暑くなる時季は脱水に注意、腎臓にダメージも

とくに気をつけたいのは65歳以上の高齢の人、過去に消化性潰瘍になったことがある人、ほかのNSAIDs等の併用薬がある人などだ。これらの要素はNSAIDsによる潰瘍発症のリスクを高めるとされている。少し面倒だと思うが、併用薬がある場合は自己判断での服用はなるべく避けて主治医や薬剤師に相談することが勧められる。

これからの汗ばむ時季に向けて、イブプロフェンなどのNSAIDsを服用する際に気をつけたいのが「脱水」だ。NSAIDsの服用に脱水が重なると腎臓に十分な血液が供給されずに腎機能が低下する「急性腎障害」を起こす可能性が高まるためだ。

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