防護服はない:物資が不足し、救急部に提供された防護服も質が悪い。40人以上の医療スタッフが感染する中、SNSチャットで「感染医者」のグループを作る。
家族への感染:感染した医師から、その家族にも次々に感染していく。
医者を辞めたい:2番目の子どもはまだ1歳で、あまりにも長く会っていない。もう母親(私)のこともわからなくなっている。
後悔:今日(のような惨憺たる状況)を知っていたら、叱責されることなんかどうでもいい。事実を言うべきだった。
謝罪:この頃、病院の幹部に会い、自分への叱責について謝罪してもらいたかったが、とても言い出す勇気はなかった。同じ病院に勤め死去した李文亮医師の遺言「この世界には多様な声が必要とされている」を思い出した。
普通の生活:普通すぎる生活こそ贅沢な幸福と今は感じている。
記事の中では、武漢中心病院のトップである共産党委員会書記の名前、さらにその書記の下で働く院長の名前、言葉などは一切伏せられ、その肩書さえも触れていなかった。
わずか2時間で削除にネットユーザーが怒り
ただし、読者は記事の行間から病院上層部の権力濫用や情報隠蔽、隠蔽の代償などを読み取れる。また同記事の下にあるコメント欄を見てみると、書記の人物の背景や院長の無能さなどが赤裸々に暴かれている。
艾医師のインタビュー記事は3月10日にネットにも掲載されたが、配信からほぼ2時間後に削除された。この削除は、中国の網民(ネットユーザー)から大変な怒りを買った。
3月10日は湖北省および武漢で新型コロナウイルスとの戦いの第1段階の勝利を宣告する日だった。とても行政の情報隠蔽や無辜(むこ)の市民が死んでいく惨めさ、さらに第一線の医師・看護師がほとんど無防備の中で新型コロナと戦い、あまりにも多くの犠牲を払った事実を顧みるタイミングとしてふさわしくなかったのだ。
言い換えれば、このタイミングで“人災”に関する武漢の教訓を明らかにすることは好ましいことではなかった。初戦の勝利を祝う官製メディアの宣伝トーンとはあまりにも違う『人物』の艾医師インタビュー記事は、当然削除される運命にあったのだ。
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