桜の花が一斉に咲き始める"意外すぎる"理由 知れば知るほど面白い「メカニズム」

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日本の多くの地域で桜の開花宣言に使われる桜は、ソメイヨシノという品種である。なぜこの桜の品種が指標に使われるのかというと、実は、ソメイヨシノはすべて同じ遺伝子からなるクローンだからだ。

ソメイヨシノのルーツ

ソメイヨシノは江戸時代後期、染井村(現在の東京都豊島区駒込あたり)の植木職人によって作出されたといわれる。しかし、ソメイヨシノ同士では交配することができず、接ぎ木という方法でしか増やせない。そこで、1本のソメイヨシノの原木から接ぎ木によって増やしていったのである。

野生のヤマザクラのように、異なる遺伝子なら個体によって開花のタイミングは違うのだが、クローンなら、地域や気候条件がそろえば一斉に咲き始め、満開となり、散っていくことになる。

2019年3月、京都府立大学などの研究チームが、東京・上野公園にある、原木と推定されるソメイヨシノの全遺伝情報(ゲノム)の解読に成功したと報じられた。

解読の結果、通説どおり、ソメイヨシノはエドヒガンオオシマザクラを祖先に持つ可能性がわかったほか、祖先の桜から552万年前にいったんそれぞれの種に分かれた後、百数十年前に交雑によって再び1つになり、ソメイヨシノが生まれたことが判明したのである。

ソメイヨシノのルーツと、木を増やす方法(図:小林哲也)
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