ノーベル賞受賞者が「笑い」を取りに行くワケ 山中教授「知られざるもうひとつの才能」
ノーベル賞の授賞式は毎年12月10日にスウェーデンのストックホルムとノルウェーのオスロで開かれる。
受賞者たちの成果はすでにメディアによって広く報じられているから、スピーカーたちの腕の見せどころ、知恵の絞りどころは、スピーチの内容をいかに魅力的なものにするかという点に絞られる。
山中教授のスピーチは聞いてわかるように、内容、演出ともにすばらしいものだった。
コミュニケーションの達人が守る3原則
コミュニケーションの達人たちが守る3つの原則がある。
② 易しいことを深く
③ 深いことを面白く
この3原則は、守るのが容易なようで決してそうではない。易しく深く語りかけても面白くなければ聴き手は逃げてしまうし、難しい話はやはり難しい。
山中教授の場合はどうかと言えば、この3原則をほどほどに守っている。これは天賦の才能から来たものなのか、それとも訓練の賜物なのかにわかには断じられない。
おそらくは天賦の才と厳しい訓練の双方が作り上げたものなのであろう。これは山中教授がマスメディアを通じて一般人に語りかけるときのことを見聞きすればよくわかる。
実を言うと、こうしたプレゼンテーションのやり方は日本人が最も不得手とするものである。しかしそれでは人間の意思は他者には伝わらない。優れたコミュニケーターは同時に優れた伝導師であるということを、山中教授はおそらく知っているに違いない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら