ノーベル賞受賞者が「笑い」を取りに行くワケ 山中教授「知られざるもうひとつの才能」
ある日突然、多くの実験用マウスがメスになっていると研究助手から告げられる。研究所が飼育していたマウスにメスはいないはずだ。
このミステリアスな性転換は、性転換ではなくて研究の結果、つまりは予想外の研究結果で、そして今回のノーベル賞につながる研究へと導くものだったのだ。この後の展開も少し引用する。
(和訳)
そこで何が起こっているのか、さらに見てみました。すると、まったく予想外の結果が出たのです。それは赤ちゃんではありませんでした。巨大な肝臓がんだったのです。
研究者たちが柔軟な頭の持ち主でなかったら、単なる実験の失敗として片付けられてしまっていたかもしれないことであった。
山中教授のスピーチが世界に与えたインパクト
ノーベル賞の世界にはかつて日本人は受賞の対象にはならないといった固定観念があり、日本人最初の受賞者が出るまでに50年の歳月が必要だった。
また物理学賞を受賞した湯川秀樹を例外として、日本人に与える賞は人文科学や文学・芸術の分野が意識され、欧米の学者・研究者と肩を並べる人材が選考の対象になるまでには、さらに時間がかかった。
20世紀後半の日本の科学技術の進歩やその背景になった自然科学の分野での研究者の輩出は、こうしたかつての固定観念を打ち破った。
高邁な思想や哲学、難解な学問的理論を披瀝するノーベル各賞の受賞者が多い中で、山中教授のスピーチは内容、用語の選択、表現、ウイットなどさまざまな面で特段に魅力的な完成されたスピーチになっている。
聴いているだけで幹細胞研究の世界に引き込まれていくだろう。
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