2月前半モデナに滞在していたことは先に述べたが、1月31日にはイタリアにコロナウイルス感染者が見つかり、皆はその話題で持ち切りであった。新聞でもコロナウイルスがらみで広い紙面が取られ、モデナの仕事仲間とも、手洗いの重要性やマスク議論などで盛り上がっていた。
そして、筆者はいったん帰国した。そして2月末からイタリアはトリノを回り、スイスのコンクール・イベントを取材後、そのまま3月3日よりプレスデーが始まるジュネーブモーターショーへと駆けつける予定を組んでいた。
ところが、出発の前日に当地のビジネス・パートナーより急報が入った。「今、イタリアへ入るのは危ない。いったんイタリアへ入国すると他のEU諸国へ入れなくなるかもしれない。直接、チューリヒへ入ってくれ」と。なるほど、イタリア政府とも関係の深い彼のコトバであったから、私はすぐに航空会社へ電話し、便を変更した。
ジュネーブモーターショーは中止に
すると数時間後、また彼よりの電話だ。「コンクール・イベントは中止になった。当地のホテルで感染者が出た。だから1000人以上が集まるイベントの開催を自治体が認めないという命令を出したんだ。だから直接、ジュネーブへ行こう。ジュネーブモーターショー主催者は開催すると言っているが、実際、どうなるかわからないけれどね」と。
そこで再び、フライトを変更したのだが、残念なことに、それだけでは終わらなかった。その数時間後、まさに私が空港へと向かおうとしているときに、三たび彼より電話があった。「ジュネーブモーターショーは中止だ」。一気に気が抜ける思いであった。
筆者はこれまでに執筆した過去の記事でも取り上げたが、ジュネーブモーターショーは近年のモーターショー地盤沈下の中でも、その存在は突出していた。他のモーターショーとは違い、新興メーカーや少量生産メーカーによる希少なモデルたちが発表されるからだ。ジュネーブモーターショーは訪れるビジターたちもちょっと違う。“買う気まんまん”の富裕層顧客たちが訪れるのだ。
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