中高年同士の結婚を阻む「年老いた親」の存在 お互いに「実家暮らし」だとなおさら難しい

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「このまま彼女と付き合っていても、この先の結婚はない気がしたんです。そうかといって、手のかかるようになった老いた母親の面倒をみている彼女をここで切るのは、非情な気がする。何か身動きが取れない状態になってしまいました」

中高年の結婚は、これだから難しい。20代の結婚ならば、親が老いていくことは頭ではわかっていても、実際には現役でバリバリ働いているので、何の躊躇もなく、自分とパートナーの人生設計だけを考えて、結婚に踏み切ることができる。

結婚して新しい家庭を築き、20年、30年と時を経て、親の介護が現実のものとなったときに、家族や兄弟姉妹で話し合い、どうしていくかを決めていけばいい。

ところが中高年になっても独身でいると、相談できる自分の家族はいないし、兄弟姉妹が結婚をして家庭を築いていると、身動きの取りやすい独身の子どもが親をみることになるケースが多い。

また、よく言われることだか、生まれたばかりの子どもには手がかかるが、子どもは数年後には自分のことは自分でできるようになり、自立し、巣立っていく。ところが老人介護は、いったん始まったら、終わりが見えない。どのくらい手のかかる介護が必要になるのかも、まったく予想がつかない。

最近では、親の介護に疲れた中高年が、親を殺めてしまうような事件も起きている。

週末婚や事実婚だっていい

「今日ここに来たのは、清美さんは諦めて、新しい結婚相手を見つけようかと思ったからなんです。でも話をしているうちに未練が出てきて、やっぱり新しい活動に踏み出す気持ちにはなれないと思いました」

私は、昭夫に言った。

「今、ご自身が何をしたいのか、ご自身の気持ちに正直になるといいと思いますよ。結婚したら同じ家に住むという、固定概念にとらわれなくてもよいのではないですか? 子どもが授からない中高年の結婚は、週末婚でもいいんです。お互いがお互いの親を見ながら、助け合えるときには助け合うし、会えるときには会って楽しい時間を共有する。生涯のいいパートナーシップを築いていくことを結婚と捉えれば、もっと気持ちが楽になると思いますよ」

日本は、高齢化社会が進んでいる。昭夫や清美のような問題を抱える独身者は、今後はますます増えていくだろう。

実際に数年前の結婚相談所では、入籍しない事実婚は認められなかった。しかし、ここ最近では、中高年の結婚だけでなく、60代、70代の再婚も増えてきているので、未入籍の事実婚も奨励するようになってきた。

結婚の形も、時代の変化とともに変わっていくものなのだろう。中高年の結婚は、老いた親との関わりも考えながら、無理のない生活スタイルをパートナーと見つけていけばよい。

鎌田 れい 仲人・ライター

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かまた れい / Rei Kamata

雑誌や書籍のライター歴は30年。得意分野は、恋愛、婚活、芸能、ドキュメントなど。タレントの写真集や単行本の企画構成も。『週刊女性』では「人間ドキュメント」や婚活関連の記事を担当。「鎌田絵里」のペンネームで、恋愛少女小説(講談社X文庫)を書いていたことも。婚活パーティーで知り合った夫との結婚生活は19年。双子の女の子の母。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトはコチラ

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