中高年同士の結婚を阻む「年老いた親」の存在 お互いに「実家暮らし」だとなおさら難しい

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職場や周りを見渡せば、40歳を過ぎての独身者はあまりいなかった。地元は結婚が早く、小中高時代の友達はすでに結婚している人がほとんどで、高校生や大学生の子どもがいたり、中には子どもが結婚したりして、孫が生まれた人もいた。

「今の時代、結婚をしていないからといって、白い目で見られることもない。結婚をしたくなかったわけではなく、職場と家を往復しているうちに年をとってしまった。40歳を過ぎた頃に、このまま自然の出会いを望んでいても結婚相手には巡り会えないと思って、結婚相談所に入ったんです」

活動当初は、すぐに相手が見つかると思っていた。1年以内に結婚をして子どもを授かり、家族を築くことを夢見ていた。

「ところが、なかなか相性や条件の合う女性に出会えなかった。35歳を過ぎても独身でいる女性たちって、自分の生活スタイルがあるし、仕事があるし、それを変えたくないという人が多い。自分は変えずに、そこに合わせてくれる男性を探している。まあ、人のことは言えず僕もそうで、職場に1時間も2時間もかけて通うような場所には住みたくなかった。交際に入ってもお互いが条件面で譲らないから折り合いがつかず、うまくいかなかった人もいました」

4年活動してみたが、思った成果を得られなかったので、相談所は退会してしまった。

そこからは婚活はせずに、また実家と職場を往復する毎日だったが、1年半ほど前に知人から同い歳の渋澤清美(仮名)を紹介されて、付き合うようになった。

「彼女に出会ったときは、46歳になる手前。年齢を考えたら、結婚してこれから父親になるのも大変だし、彼女も子どもを授かることは考えていなかったので、お互いに肩の力が抜けていて、いい付き合いができました」

2人の関係を縮めようと思った矢先に…

清美もまた実家暮らしだった。父親はすでに他界していて、今年79歳になる母親と2人暮らし。2つ上の兄がいたが、すでに結婚をして、高校生と大学生の子どもと妻と、隣町に住んでいた。

「彼女とは月に2回くらいのペースで会って、ご飯を食べたり、遠出をしたりするようなデートをしていました。彼女と僕の家は車で1時間半くらいの距離のところにありましたが、子どもを授からず、パートナーとしての結婚を考えるようになったら、距離は不思議と気にならなくなった。彼女も休みが土日だったので、週末会うようにしていました」

ただしLINEなどの連絡は途絶えぬように、昭夫から小まめに送っていたと言う。

「相談所で活動していたときに学んだことなんですが、LINEやメールの連絡が途絶えると、関係も自然消滅的に終わっていく。彼女はこれまで出会った女性の中では1番気が合う人だったので、大事にしたかった。彼女の職場は残業が多くて帰宅が遅い日の返信はなかったけれど、翌朝には必ずLINEが来ていたので、付き合いは順調でした」

そして、1年4カ月が過ぎた。

「順調なんだけれど、2人の距離がまったく縮まっていないことを感じたんです。結婚に向けて関係を進めていくには、もう少し踏み込んだ付き合いをしていかないといけない。そのためには、お互いの親に結婚相手として紹介し合うのがいいのかなと思ったんですね」

次ページそんな矢先に彼女の母が…
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