東大合格者の"合理的すぎる"英単語の超暗記法 ただ繰り返すのではなく「記憶に刺す」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その頃、私はたまたまCNNで女優のジョディ・フォスターのインタビューを見ていました。その中で、彼女が映画監督のデヴィッド・フィンチャーの作風を評してmeticulous(「細かいところにこだわる」といった意味)という語を使ったのです。

どういうわけか、このmeticulousという単語が、私の脳に強く刻印されました。それから18年間、私はこの単語を見るたびに、あの大女優の顔を思い出します。彼女の表情と、単語の持つイメージが結び付き、脳から離れないのです。

こういう状態を、私は「記憶に刺さる」と呼んでいます。まさに脳という「板」に「クギ」が打ち込まれるイメージです。しっかりと刺さったクギは、容易には抜けません。一方で、打ち込みの甘いクギは何度刺してもすぐに抜けてしまいます。

英単語の記憶も同じことです。記憶にしっかりと刺さるともう二度と抜けません。うまくいけば、その作業は何度も繰り返す必要はありません。1発目の打ち込みが肝心なのです。

私は研究を重ね、「1発で覚える」ためのさまざまな「仕掛け」を開発しました。その1つが、「気になるイラスト」です。1例を見てみましょう。

記憶に刺さる「気になるイラスト」

emerge(出現する)、emergence(出現)、emergency(緊急事態)をイメージ化したものです。emergeの「ぬっと現れる」というイメージがポイントです。そしてemergenceemergencyの区別は、受験生にとっては難所の1つです。

私のクラスでこのイラストを見せてからというもの、この単語の意味で迷う生徒はいなくなりました。彼らの記憶に「刺さった」のです。

こうした経緯で、初版の『鉄壁』には、このような「気になるイラスト」を500点以上掲載しました。ほかにも「記憶に残りやすい例文」「単語を関連付けてストーリー化」「確認テストでの記憶の強化」など、確実に覚えるためのさまざまな工夫を随所にちりばめました。

こうして2009年に出版された『鉄壁』ですが、受験生の間にじわじわと浸透していきました。鉄緑会の30人ほどのクラスで実験的に始めた試みが、全国に広がり、そしてベストセラーとして書店で平積みにされるまでになりました。

次ページ東大英語が難化
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事