ロシア対外諜報のトップが語るアメリカと中国

中国は同盟国ではないが特権的な関係にある

石川 スノーデンはその著書に、アメリカは自国民だけでなく世界中どこでも聴こうと思えば聴くことができると書いています。

ナルイシュキン スノーデンね。アメリカは(他国を盗聴している)ことを隠しさえしない。ただ問題はその能力をどのように使うのかだ。スノーデン氏が著書で明らかにしたように、アメリカは世界のコミュニケーションをコントロールしていたし、今もしているでしょう。そして数百万の人々の電話やそのほかの会話を監視しているでしょう。彼らにはその能力があり、それをしていると思います。その結果、彼らは基本的な人権というものを無視している。われわれはそのようなことを必要としていない。まったく必要ありません。

アメリカはロシアを非難するが証拠を出していない

石川 アメリカは、ロシアこそアメリカの内政に干渉しているではないか、といっています。

ナルイシュキン 非難していますよ。でも何の証拠も出していない。だからこの嘘に基づく非難は信じないほうがよい。根拠のない嘘ででっち上げですよ。理由は他にあるでしょう。

サイバー空間の利用やサイバー空間の安全保障について、ロシアは国際合意を結ぼうと提案しています。サイバー空間での国家の機能についての基本原則を結ぼうということです。簡単に言えば、サイバー空間において国家には何が許されて、何が許されないかです。そしてどのように管理するかです。ただ残念ながらアメリカは無反応です。

私は第2次世界大戦前にソビエトがイギリスとフランスに対して対ドイツ・ナチス政権で手を結ぼうと呼びかけたのに無視された状況を思い出します。そのことが結局ナチスによるポーランド侵攻とその後のソビエト侵攻につながりました。それから80年たちますが、私はそうしたことを繰り返したくないですね。だからサイバー空間における国際合意を提案しているのです。

石川 サイバーセキュリティはロシアの安全保障にとっても重要なのですね。

ナルイシュキン もちろんです。サイバーセキュリティの担当機関によればロシアに対するサイバー攻撃は毎年数十万どころか数百万回も行われています。どこかはいいませんが、世界のあちこちから行われています。われわれにはサイバー空間を守る義務があります。われわれの社会生活を機能させるために重要なインフラをこうした攻撃から守ること、国家と国民の安全を守ることは重要なのです。

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