ロシア対外諜報のトップが語るアメリカと中国 中国は同盟国ではないが特権的な関係にある

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石川 アメリカとロシアの国家間の関係が悪いということはよくわかりました。そうであっても諜報機関どうしの協力は必要でしょう。アメリカの対外諜報機関とSVRは世界最高レベルの能力を持っていますが、アメリカとロシアの対外諜報機関の相互関係はどのようなものでしょうか。

ナルイシュキン 対外諜報の世界では、世界のほとんどの国の機関とお互いに良好な、生産的なパートナー的な関係を保っています。その中にはアメリカの諜報機関、まずCIA(中央情報局)との関係も含まれています。パートナー関係にある主な分野としては国際テロとの戦いがある。この分野ではアメリカのパートナーとも、ほかの国のパートナーとも、その中には日本も含まれますが、日々の情報、諜報活動で得た情報の広範囲な交換を行っています。

テロ組織の意図やメンバーの情報、リーダーたちの構成や資金源の情報、そしてさまざまな個別のテロ行動の目的、意図などについてです。米ロの国家間の関係が低いレベルにあり、緊張関係にあっても、そのことが対外諜報機関どうしの協力関係、あるいはFBI(米連邦捜査局)やFSB(ロシア連邦保安庁)のような治安機関どうしの協力を妨げてはいません。

石川 主な協力分野は対テロ作戦ということですか。そうした協力の結果、テロを防いだこともありますか。

ナルイシュキン 最近、FSBとの会議で大統領自身が明らかにしたことですが、アメリカとの協力でサンクトペテルブルクでのテロを防ぐことができました。こうした事例は1つや2つではありません。

サイバー空間の安全保障を提案している

石川 サイバー空間の分野についてお聞きしたい。サイバー空間では今、ロシアも含めてさまざまなプレーヤーが競争を激化させています。ただ、アメリカが優位な地位を占めていると思います。アメリカの優位性をロシアの諜報機関としてどのように評価していますか。また、ロシア、あるいは対外諜報機関としてどのような課題、目的を持っていますか。ロシアは本当に独立した、別個の、主権のあるサイバー空間を持てると思っているのですか。

ナルイシュキン 私はアメリカの優位性について、評価するつもりはない。アメリカとロシア、あるいは日本を含めたほかの発達した工業国家との間のポテンシャルと比較するつもりもない。誰が強いかとね。ただはっきりと申し上げますが、ロシアはアメリカと同様、十分なポテンシャルがある。科学技術のポテンシャルから見ればね。日本も十分あると思いますが。

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