五輪中止なら「新国立競技場」はどうすべきか 24億円の赤字を「100億円の黒字」にする方法

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1940年にも「東京オリンピック」がありました。いや、あったはずでした。ただその当時は日中戦争の真っ只中で、当時の日本の組織委員会が自主的に大会自体を返上しました。

1980年のモスクワオリンピックでは、ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻に抗議した西側諸国に連動、政府の決定事項として日本選手団はオリンピックを辞退しました。開催の約1カ月半前の出来事でした。

現在も、コロナウイルスの影響がどこまでオリンピックに及ぶのか、予断を許さない状況です。過去においても、不慮の事象により夢の舞台に立てなかったオリンピックアスリートがたくさんいました。昔も今も、若者たちの心の痛みに大小はありません。

困難の中だからこそ、考えるべきことがある

世界的な困難に直面している現在の状況下、人生をかけて出場権を勝ち取ったオリンピックアスリートの皆さんに置かれましては、本当に苦しい日々を送っていることだと思います。

実際には、オリンピックだけでなく、多くのスポーツイベント、大会、最後の引退試合などスポーツのみならず、卒業式、結婚式、お葬式ですら満足に行えないのが現在の状況です。

経済的な基盤を奪われ生活すら困難になっている方々、そもそも感染してしまった方々……地球は今、大きな苦しみを分かち合い、一丸となってこの難局の克服を目指している真っ最中だと思います。アスリートであればこそ、勇敢に、そして利他精神をもって、冷静に現状を受け入れ、オリンピック後、そして引退後も続くであろう自分の人生計画を改めて考える、そんな機会にすべきかもしれません。

アスリートはもちろん、すべての日本人が、東京オリンピックにおいて、起こりうるすべてのシナリオのシミュレーションをしておくことにデメリットは1つもありません。

近代オリンピックの大きなテーマに「都市のサスティナビリティ」があります。僕にとっても、巨額の資金をすでに投入してしまった今般の東京オリンピックにおいて、「都市のサスティナビリティとはいったいなんだろう」そんなことを、もう一度真剣に考え直すひとつのきっかけになっています。

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すなわち、「仕方ないでは済まされない」ということ。そして「スポーツの真の価値を開放する」ということです。スポーツは「金食い虫」などではなく、「金の生る木」なのです。

スポーツ界にはたくさんの言い伝えがありますが、その中に「チャンスはピンチの顔をしてやってくる」というものがあります。さまざまな課題が顕在、潜在する現在の地球において、スポーツがどんな役割を果たせるのか、スポーツを愛する皆さんともに真剣に考え、果敢に実行していかなければと思っております。

安田 秀一 ドーム代表取締役CEO、筑波大学客員教授

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やすだ しゅういち / Shuichi Yasuda

1969年東京都生まれ。法政大学文学部卒業。法政大学第二高等学校でアメリカンフットボールを始め、キャプテンとしてチームを全国ベスト8に導く。大学全日本選抜チームの主将も務める。

1992年に三菱商事入社。1996年にドームを創業。アンダーアーマーの日本総代理店として日本市場の開拓を続ける傍ら、アメリカ、ヨーロッパのスポーツビジネスの調査を開始。日本のスポーツ業界の後進性にショックを受け、以来業界の改革に向けた提言を続ける。

その一環として大学スポーツの産業化と選手の環境改善にも着手し、2016年に法政大学アメフット部監督、2017年1月に総監督就任。

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