大幸薬品の「クレベリン」はコロナ対策になるか 元医師の柴田社長に「有効性」について聞いた

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――その論文があることによってクレベリンの有効性が一般消費者に評価されているのでしょうか?

一般の方にはマーケティングで評価されている。むしろ評価されていないのはガバメント(政府)ね。これからはガバメントからのご理解も得たい。

コロナショックに直面した企業の最新動向を東洋経済記者がリポート。上の画像をクリックすると特集一覧にジャンプします

各国のウイルス感染症の専門家が論文などを読んで、感染症対策にはクレベリンが有効だと国に推奨する、というのが本来の姿だ。

2011年に日本二酸化塩素工業会という業界団体を作り、生涯吸っても安全性に問題がない二酸化塩素の基準を作った。だが、まだ国の標準規格にはなっていない。標準規格になれば、豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」にもクレベリンを置きましょう、という話にもなったはず。この件について今回、厚労省にお話しに行こうと思ったけど電話もつながらなかった。

正露丸は十分復権できる

――ロングセラーである正露丸の販売は低迷しています。

最近は、とくに若い人に正露丸を知らない人が増えている。名前は知っていてもどういうときに飲むのかわからないと言う。正露丸は生薬で、どんな下痢のときでも使えば効果があると訴求してきたが、ここ数年はクレベリンの広告宣伝に資源を割いていて、うまく伝えきれていなかった。正露丸はにおいがきつい。今後は糖衣錠というにおいを低減した商品をさらにアピールしていく。

柴田高(しばた・たかし)/1956年生まれ、創業家出身。1981年川崎医科大学卒業。外科医として大阪府立成人病センター(現大阪国際がんセンター)などに勤務。1998年に大幸薬品取締役就任。副社長を経て、2010年から現職(撮影:尾形文繁)

――クレベリンと正露丸で、広告宣伝費や人的な資源のバランスをどう取っていきますか?

クレベリン事業が稼げなかったときには正露丸事業が支えることで成長できた。これからは逆にお返ししましょう、という感じだ。売上高が伸びると使える広告宣伝費も増えるため、正露丸は十分復権させていける。正露丸は世界中に売っていける薬でもあるので、可能性は非常に高い。ただ一般用医薬品は投資の結果が出るまでに時間がかかる。5年後10年後には大きな市場を作れるポテンシャルがある。

――株価が急騰した後の2月12〜13日に柴田社長が保有株式を一部売却しました。なぜこのタイミングだったのでしょうか。

売却するのは有償ストック・オプションの権利を行使するために現金が必要だったからだ。タイミング的には、まだ株価が伸びていくという判断ができないこともない。業績には、ベースになる部分と、ブームの部分がある。ブームの部分が浮き沈みするのは当然で、持続的に成長しようとすればそこに頼ってはいけない。いかにベースの部分につながるブランド価値を上げていけるかが大事だ。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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