企業の社員研修が「無形投資」と言える理由 研修の成果は企業にとっての「資産」となる

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確かに一部の広告支出はこうした「やるか、やられるか」的性格を持つが、あらゆる企業が完全にお互いを相殺しているとは考えにくい。さらに少なくとも一部の広告は他の企業にも恩恵を与える。というのも消費者はA社の製品だけでなく、そうした商品すべての存在を知ることになるからだ。

経済学者フェルディナンド・ラウチは、政策の変更を活用してこの問題を検討した(Rauch 2011)。2000年まで、オーストリアでは広告に課税しており、地域ごとに税率が違っていた。2000年に全国的にそれが統一され、すべての地域で5%になった。つまり国の一部では広告費用が上がり、一部では同時に下がった。

もし広告が単にゼロサムゲームなら、この課税の変更は企業支出にまったく影響しなかったはずだ。というのも、彼らが単に相手よりたくさん広告費を使おうという軍拡競争をしているのであれば、税率はどうあれ競争により支出を続けるしかないはずだ。

ところが実際には、広告の費用が上昇した地域では出稿は減って、下落した地域では増えた。全体として、広告の出稿量は増え、製品価格は下がった。つまり消費者は広告の増加に対して、もっとたくさんの財やサービスを低価格で買うことで反応した。これは広告によって情報が増えて、市場がもっとうまく機能するようになったという考え方と整合している。

組織開発には価値がある

組織開発を無形投資として扱うことに対する反対は、それが耐久性がないというものか、あるいはそれに価値がないというものだ。確かに経営管理業務に対する支出の一部は無駄か無価値だ。

特に経営のまずい事業ではこれは顕著だろう――無価値で非生産的な経営については、『書記バートルビー』から『ザ・オフィス』に至る豊かな文芸作品が残されている。同様に、一見すると組織開発に見える活動がすべて持続性を持つわけでもない――多くの経営コンサルティングは、うまくいく場合ですら新しい組織構造の構築を目指すよりも、短期の意思決定改善への支援でしかない。

だがどんな組織投資も長持ちしないとか、価値がないというのは行きすぎだ。よい経営と高い業績の文化を保つ企業があり、そうした文化の創造と維持には投資(時間もお金も)が必要だというのは明らかだ。そして、そうした企業のほうが、ダメな文化の企業よりも成功しやすいのは当然だろう。

例えばトヨタのカイゼン運動や、ゼネラル・エレクトリック(GE)のシックスシグマを考えてみよう。イノベーションはしばしば組織変化への投資を伴うのはわかっている。例えば新しい製品ラインを販売するために新しい事業部を作る場合などだ。

そして自社の外で有益な組織資産を作るために投資を行った企業もある。ティム・クックが構築した見事なアップルのサプライチェーンは、明らかにアップルにとって長期的な価値の源泉で、同社が製品をすさまじい速度で市場に出すことを可能にした。

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