就活「人材サービス会社頼りきり」が危険な理由 企業のお金で成り立っていることを忘れるな

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そういったまじめな学生が、自分自身のあらゆる考え、想いを整理できないまま、誰かに誘導されて意思決定する状況を目にすると、意思決定を覆すのは難しく、「結果的にその学生にとっていい就職であればいいけど」と思うしかありません。

どこに就職しようと、そこで一生懸命に仕事に取り組んで積んだ経験は、決して無駄になるものではありません。そもそも、どんなプロセスであっても、自分に納得感があれば、入社して頑張る動機につながると思うのでいいと思います。

ただ、私としては納得感にも、「質の違い」がある気がします。そのイメージを伝えるとすれば、その後、何か困難なことが生じたとしても、「責任をほかに求めることはせず、また自虐的になることもなく、自らの責任として受け止められると言い切れるだけの納得感」が持てるかどうかです。

入った会社で何か不都合なことが起こったとき、納得感の質が低ければ、「会社を推薦した人が悪い」「入社した会社が悪い」「上司が悪い」「仲間が悪い」と、他人や周囲の責任にしたり、「ダメな奴だ」「運が悪かった」と自分を必要以上に責め蔑んだりして、不都合なことに向き合わず、解決すべき問題から逃げたまま、安易な離職に至ったり、精神的なストレスばかりを抱え続けることになりかねません。

「質の高い納得感」があるか

反対に納得感の質が高ければ、「これは当時の自分ができる限りのことをして決めたことだから、必然的に起こったこと」と、自責として事実を受け入れ、問題への解決策について、今後どうするかを具体的に考えることができる可能性が高いと思います。

人から与えられて無理やり納得して持った目標と、最終的に自分でしっかり考えて決めた目標とでは、達成に向けて行動する中身も違ってきます。「自分がしっかり考えて決めた」ならば、その後の行動力にも大きく影響すると、私は考えています。

学生の皆さんには、いい社会人のスタートを切る可能性を高めるためにも、どんな就活プロセスであっても、「質の高い納得感」をもって入社を決めてほしいと思っています。

イベントにしても、ダイレクトリクルーティングにしても、エージェント会社にしても、使い方さえ間違えなければ、とても便利で有効なサービスだと思います。

ただし、改めて注意してもらいたいのは、イベント、ダイレクトリクルーティング、エージェント会社を利用する際に、そこで関わる人たちに依存はせず、あくまで冷静に情報収集をする意識をもってほしいのです。

就職サービスを提供している会社は、ほとんどが学生からではなく、採用活動をしている企業からお金をもらっています。そのため、学生よりも企業側の立場に寄った活動をしてしまいがちです。当然、学生の皆さんのサービス利用満足度も高くなければ成り立たないビジネスモデルなので、学生をぞんざいに扱うことはしません。しかし、完全に学生本位にはなりづらいという事実をふまえておいてほしいのです。

サービスを利用する中で、出会う人から得た情報は少し距離を置き、参考情報の1つとして考える程度にしておいたほうがいいでしょう。そして、意思決定を出会った人に委ねることはせず、自分で判断、意思決定していくという意識を持ちながら、就活を進めることをお勧めします。

豊川 晴登 人材ビジネス企業 人事・採用担当

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とよかわ はると / Haruto Toyokawa

1974年生まれ。ベンチャー、中小、大手上場企業など複数の企業に勤務し、小売、金融、保険、アウトソース、人材等の事業領域で人事を中心としたキャリアを積む。事業責任者、上場企業の執行役員等の経験を経て、現職に至る。GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

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