とくに会議室にいる誰が今発言しているのかがわからない、アレとかココとか、会議室以外のメンバーには伝わらない言葉を使う。最悪なのは劣悪なオーディオシステムで遠くの音声がまったく拾えないケースで、こうなるともうテレワークはたくさんだ、ということになってしまいます。
これについては、例えば発言者はまず自分の名前を名乗る、途中途中にオンライン参加者からの質問を受ける時間を設けるといったルールを徹底していくことで、かなりFace to Faceの会議に近い生産性が上げられるようになるはずです。
「トップの率先垂範」がとても重要
では会議がこうしてスムーズに運営できるようになったとして、これでテレワークが進むかというと、そうではありません。とくに日本ではテレワークを妨げている最大の理由に「上司」の問題があると思います。
今回のコロナウイルスの拡大に対し、私の会社レノボ・ジャパンでも2月25日の政府方針以降は可能な限りテレワークとする、という指示を出しました。実はテレワークに関しては2月の初めの段階ですでに人事から「各自の判断で」行う指示が出ていたのですが、一部しか実施されませんでした。
これは日本人の美徳でもあるのですが、会社に来ないことは調和を乱すことであり、自己中心的と考える傾向があるようです。そして、そこにやはり上司の顔色をうかがうという要素もあると思います。
テレワークに限らず、こうした価値観も変わっていかなければならないと思います。そのうえで私自身への教訓となったのが「トップのメッセージ」「トップの率先垂範」です。
やったほうがいいのか、やらないほうがいいのか、迷っているとき社員は上を見ます。私自身が率先してテレワーク中であることをアピールし「デビットもテレワークなんだ」と思ってもらうことで社員のテレワーク率もグッと上がったということがありました。
もう1つ、テレワークを連続して行っていくと、徐々に部下とのコミュニケーション不足を感じるようになってきます。業務に必要な報告は来ている、成果も予定どおりに上がっている。しかし「あの人今何やっているんだろう」という気持ち、またはその逆で「何をやっているんだと周りから思われていないだろうか」という気持ちも生まれてきます。
ここで大事なのが「雑談」の時間です。われわれはオフィスでは知らず知らずのうちに雑談をしているものです。30分も1時間も雑談しっぱなしでは困りますが、すれ違いざまのちょっとしたあいさつ、隣の席の人とのふとした会話で、実は心のバランスを保っているところがあると思います。
私の場合、テレワーク中の社員とはメールとは別にチャットツールを使って、「どうしてる?」というようなたわいのない会話を努めて入れるようにしています。
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