武漢に心当たりある彼女が窓口で受けた仕打ち 1月30日の発熱から今も体の調子が良くない

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結果、病院で熱を測ると37.4度だった。インフルの検査もなく「風邪」と診断され、風邪薬を5日分処方された。彼女の知人がインフルのときはほかの患者と隔離されたが、彼女の診察ではそれもなかったという。どこからどう見ても風邪だったからだ。その時は、彼女も周囲も「新型肺炎のことを考えすぎて、想像新型肺炎になったのかも」と笑い話にする余裕があった。

だが万が一のことがあるので、直近のイベントへの参加はすべて取りやめ、少人数の打ち合わせを除き、1月23日から起算して2週間後の2月6日まで、なるだけ自宅で過ごすことにしたそうだ。

そして風邪の症状は2月7日頃になくなった……と思っていたら、10日夜頃から再び体がだるくなり、せきが出るようになった。熱は37度前後で「なかなか治らないかぜ」の状態が続いているようだ。

彼女はもう一度病院に行こうかと思ったが、ここ数日、日本で医師や看護師の感染が増え、院内感染も起きているのを見ると、下手に動けない。そこで2月16日午後、東京都が開設した「一般相談窓口」に電話をかけたところ、不思議なことが起きたそうだ。

電話番号は正しいが違う部署につながる

1回目にかけると、東京都の違う部署につながった。電話に出た職員は、「新型コロナウイルスの相談でしたら、こちらの番号です」と案内してくれ、彼女も「かけ間違えたようです。すみません」と切った。その後スマホの発信履歴を確認したら、職員に案内された番号と一致しており、かけ間違えていないことがわかった。

事情がわからないままもう一度同じ番号に電話したら、今度は東京都の高齢者政策部署につながった。そこでも「新型肺炎の相談窓口はこちらではありませんので」と番号を案内された。彼女が「いえ、ホームページでも番号を確認したし、発信履歴見ても間違っていないのです。さっきも同じ番号にかけて、違う部署につながったのです」と説明すると、男性職員は「そうなんですか。ちょっと確認してみます」と言った後、「相談窓口は2種類あるので、今の状況を説明していただけますか」と彼女に尋ねたという。

彼女が自分の状況を一通り説明すると、男性職員は「そういうことでしたら、一般相談窓口ではなく、(発熱や呼吸器症状があり、中国湖北省または浙江省への渡航歴や患者との接触歴がある人向けの)帰国者・接触者電話相談センターにかけられたほうがいいですね」と、電話番号を案内してくれた。

なぜ一般相談窓口にかけて、全然違う部署につながったかは、今もわからないままだそうだ(楽天モバイルのアプリからかけた以外の特別な操作はしていないという)。

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