武漢に心当たりある彼女が窓口で受けた仕打ち 1月30日の発熱から今も体の調子が良くない

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日本は中国のようには公共施設や娯楽施設を封鎖したり、人々の外出を禁止することは簡単ではないだろう。せいぜい不要不急の外出を「呼びかける」程度だ。検査体制が感染の可能性がある人を十分にはカバーできず、移動の範囲を各個人や企業の裁量に委ねる状態では、ウイルスは野放しに近い。

地方農家にも新型コロナの不安は広がる

福岡県で農業を営む男性(45歳)は、肥料の営業のため来週、和歌山県有田市に出張する予定だ。有田みかんの生産地として有名な同市だが、今は隣町の済生会有田病院で新型肺炎が広がり、大わらわとなっている。

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客先から「こんな時期だから来なくてもいいよ」と言われた男性は、子どもにも和歌山出張を反対され、悩んでいる。「厚労省は重症急性呼吸器症候群(SARS)のようにならないと言ってましたが、あれは何だったんでしょうか。日本は東日本大震災での福島の原発事故の『想定外』から何も学んでいない。今回は原発事故と違い、準備する時間もあったのに」。

男性は憤りながら、「地域の人たちは何も悪くないのに……」とつぶやいた。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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