「中国から見た日本」の感染対策が甘すぎる理由

日本人駐在員は帰国かとどまるか判断に迷う

中国で働く日本人駐在員は、感染が広がる日本への帰国を悩んでいます(ロイター/アフロ)

「帰国命令が出たんです。仕方ないですが、今週日本に戻ります」。日本の大手IT企業の会社員で、北京に駐在する松田さん(仮名・50代)は、憂鬱な表情でそう話す。

 中国で新型コロナウイルスによる肺炎が大流行していた10日前までは、松田さんはむしろ帰国を希望していた。「北京の現地社員を見捨てて帰ったと思われると関係が悪くなるから、本社が帰国を命じてくれないか」とも考えていたそうだ。だが2月中旬に入って、日本のほうが危ないのではないかと感じるようになったという。

中国人から「マスクをあげる」と言われる

 松田さんは2月14日まで在宅勤務。食事もデリバリーにして、一歩も外に出なかった。17日からは出社しているが、オフィスは数時間ごとに消毒され、会社から弁当も支給される。

 一方、日本ではクルーズ船から多数の感染者が確認され、市中感染も広がっている。それでも、まだ危機感が薄いように松田さんは感じる。日本の本社ではリモートワークが導入されたが、政府に言われたからそうしたように見えるという。

 松田さんの会社では外務省が一時帰国を強く推奨すると、ようやく帰国命令を出した。松田さんは「中国人の部下たちにも『いちばん大変な時期を中国で頑張って、せっかく落ち着いてきたのに、日本のほうが危ないですよ。マスクをあげましょうか』と言われます」と漏らす。

 中国で働く日本人の動揺はなお止まらない。彼らの多くは1月下旬の春節期間に日本に一時帰国し、2月初めの中国全土で新型肺炎がさらに拡散していた時期に中国に戻った。どこに行くにも体温を測定され、外出もままならない異常な生活だ。そして外務省は2月12日になり、ようやく中国にいる日本人に対し早期の一時帰国を呼びかけた。

 だが、まさにその頃、中国の新たな感染者数は湖北省以外で減少傾向に転じ、逆に日本での感染が世界の懸念事項になった。中国の厳しい生活制限を知っている日本人たちからは、日本の対策が不十分に映る。

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