案内された帰国者・接触者電話相談センターは何度かけても話し中になる。30分で7、8回かけたところで、東京都のHPを見ると「受付時間:平日:17時~翌9時、土日祝日:終日」と記載されていた。
彼女はそもそもこの番号は今は受付時間外なのかもしれないと思い、自分が住んでいるエリアの保健所にかけ直した。保健所の電話は2コールでつながり、電話を受けた人はとても丁寧に聞き取りをしてくれたそうだ。
ここでは、彼女のこれまでの中国人との接触や、1月23日の武漢の人とのニアミス、そして風邪の症状が長引いていることを時系列で説明した。
担当者の女性は、「それでは専門のスタッフに対応を相談しますので、少々お待ちください」と数分電話を保留にした後、「お待たせしました。お宅さまは検査の該当者にはならないので、心配でしたら近くの医療機関を受診してください」と彼女に告げた。
これは完全に想定内の答えではある。厚労省は彼女が保健所に電話をかけた数時間後に、新たな相談の目安を発表したが、「37.5度の発熱が4日続くか、強いだるさ」が条件であり、彼女は当てはまらない。
とはいえ、厚労省の相談の目安は、なお実態をカバーしきれていない。日本ではすでに湖北省との接点が見つからない人の感染者が複数出ており、クルーズ船からは無症状感染者が多数確認されているからだ。
彼女自身「風邪なんだろう」とは思っているようだが、その自信は真っ白でもオフホワイトでもなく、薄グレー。こうなると、彼女にできるのは、周囲の人の感染リスクを極力下げることくらいしかない。家族に配慮し、今は家の中でもマスクをして過ごしているという。
中国は医療従事者約3000人が感染している
日本の検査網がこんな感じだと、専門窓口での相談基準に該当しない感染者が体調不良で病院を受診し、医師や看護師にうつす事例は今後も後を絶たないだろう。
中国でのこれまでの医療従事者の感染は、疑いも含めると3000人を超えた。また、新型肺炎の患者を早期から受け入れて来た武漢市武昌医院の院長と看護師が命を落とした。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら