鹿島建設が女性を現場配属する理由 建物を建てたい、橋を架けたいという女子学生が急増中

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、男性だけではなかなか改善できなかった長時間労働を見直すきっかけにもなるのではないかと期待している。顧客との契約により工期が決まっているため、時には長時間労働になってしまうこともあるが、決められた時間の中で1日の仕事を終えることが基本だ。

家庭を持つ女性もいることや、やはり女性は体力面で長時間勤務は厳しいということから、工夫をして早い時間に帰ろうという意識が生まれ、ワーク・ライフ・バランスの向上につながるのではないかと思う。実際、決められた時間内に作業を終えるためにはどうしたらいいかを皆で考えるようになった現場もある。

弊社の社員はいいものを造ろうという意識が強いあまり、特に現場ではこれまでワーク・ライフ・バランスに対する配慮は後回しになりがちだった。しかし、いいものを造るためにも、本来、ワーク・ライフ・バランスは重要な要素のはずだ。今後、女性の総合職が配属されている現場が増えていけば、大きな効果が期待できるのではないかと思う。

高いモチベーションの女性社員、気負いすぎが心配

――一方、技術者として入社してくる女性たちの意識はどうですか。

「ダムを造りたい」「大きな橋を架けたい」など、夢を持って入社してくる人がほとんどだ。就職活動の段階から意欲が違う。女子学生も狭き門と感じているし、実際、女性の技術者を採用する建設会社は多いわけではない。そのため入社した人達のモチベーションは非常に高い。

ただし、「女性だから駄目だ」と言われたくないという気持ちが強いため、気負って頑張りすぎるのではないかという点が心配ではある。そのため、フォローもしている。日頃から、配属先の所長にその人らしく働けるようにしてほしいということを話しているほか、土木系の総合職社員については、毎年4月に、現場の女性管理職など、入社年次を超えた女性社員が参加して、互いに想いを聴き合い、悩みなどを共有する機会を設けている。

当日は先輩女性社員からの体験談報告、入社年次をシャッフルしてのグループディスカッション、現場見学などが行われる。女性の総合職社員にとって、男性には当たり前にあるロールモデルとネットワークがない点が大きな問題だ。

入社してくる女性技術者は、大学時代から男性が多い中で勉強してきたため、職場に男性が多いことにはあまり違和感を感じていない。そのため、男性の先輩社員に相談できないということはないのだが、結婚、出産、育児ということになると話は別だ。

次ページ育児休暇から現場復帰社員も
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事