25年ごとに起きる世界史の大転換 安倍首相に問われる「認識」、「手腕」

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ウクライナ情勢で、緊張が高まっている。
 アメリカやEUとロシアが対立するという構図だが、一方、アジアでは、東シナ海に防空識別圏を設定するなど、大国意識を背にした中国の膨張主義にアメリカが神経を尖らせる。米中対決が激化する恐れもある。

もしかすると、2014年は冷戦終結後の世界の秩序とパワーバランスが崩れ、次の時代の「第1頁の年」として記録されることになるもしれない。歴史の転換点となる可能性がある。

前回、世界の構造が大きく様変わりした年は1989(平成元)年であった。1月に昭和天皇崩御に遭遇したが、中国では6月に天安門事件が起こった。一方、9月にドイツでベルリンの壁の取り壊しが始まる。12月に米ソ首脳会談で東西冷戦終結が決定的となった。

歴史をさかのぼれば、大変動は25年ごとに生じていることがわかる。
その25年前の1964(昭和39)年は戦後、日本が国際舞台に躍り出た年だ。4月にOECD(経済協力開発機構)に加盟して先進国の仲間入りを果たし、10月に東京オリンピックが開催された。
 一方、世界では、この年、米軍の北ベトナム爆撃で、ベトナム戦争がスタートする。10月にはソ連でフルシチョフ共産党第一書記の解任、中国で初の核実験という出来事があった。

さらにその25年前の1939(昭和14)年は第2次世界大戦、そのまた25年前の1914(大正3)年は第1次世界大戦が勃発した年だが、 100年後の今年は大異変が起こるかどうか。

もし今年が25年に一度の世界史の大転換点であれば、安倍首相はその認識と、変革と激動を乗り切るだけの識見と手腕の有無が問われる。
 4月にアメリカのオバマ大統領がアジアを歴訪するが、北朝鮮や中国をにらんで、日米韓の同盟強化を目指すアメリカに対して、韓国は「反日・親中」路線で「米中」を天秤にかける綱渡り外交の構えも見せる。北方領土問題の打開・進展を視野に対露接近も狙う安倍首相だが、同じように「米露」両にらみで二兎を追い、二兎とも逃して「外交敗北」に終わる危険性もある。それとも日米同盟強化一本で走るのか。
 得意の安倍流「戦略外交」の虚実が明らかになるだろう。

(撮影:尾形文繁)

塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

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しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

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