新型肺炎を武漢で真っ先に告発した医師の悲運

12月に警告も、当局から処罰され本人も感染

財新記者:SARSと同じように“ヒトからヒト”へ感染するということですか?

李医師:ヒトからヒトへ感染するということは明らかです。1月8日頃、私もこのウイルスの患者の治療を行いました。当時われわれの眼科には閉塞隅角緑内障で入院している患者が1名いました。彼女はその日、体温は正常なのにも関わらず、食欲が無かったんです。

その頃はわれわれも体の他の部分の不調だとは思っていなかったのですが、眼圧が正常に戻っても翌日はやはり食欲がなく、昼頃には発熱を起こしてしまいました。その後肺部分のCT検査を行うと“ウイルス性肺炎”ということが明らかになりました。その他の数値が原因不明の肺炎である基準を満たしていたんです。

当日彼女の世話をした娘さんも発熱を起こしました。これは明らかなヒトからヒトへの感染です。そこで我々はすぐに医務所とオフィスに報告を行いました。院内の専門医による診察を行い、診察後に我々の科で隔離して治療が出来るようにお願いしたのです。

3日後、われわれは再び前述の女性にCT検査を実施したのですが、結果はやはり“ウイルス性肺炎”でした。更に感染範囲も拡大しており、状況は深刻になっていました。当該患者はすぐに呼吸内科の隔離室に移動させたのですが、その後の状況を私は知りません。

当初、なぜ確定症例は少なかったのか

財新記者:当時すでに“ヒトからヒトへの感染”が起こっていたにも関わらず、なぜ確定した病例はあんなに少なかったのでしょうか?

李医師:当時確定を行うには難度が高かったのです。検査キットもありませんでした。ただ検査キットが無ければ核酸増幅検査に回すことも出来たのですが、その場合かなり時間がかかってしまうようです。詳しいプロセスは私もよく分かりません。当時われわれの病院の専門医チームでも、診察を行った時に検査を行う必要があるのかどうか決定することが出来なかったようです。

臨床診断は基本的に、その他の病の原因を排除して行われました。例えばCTでの精密な検査も行いましたし、一般的な治療では効果が無いことも分かりました。また白血球やリンパ細胞が減少していることなども参考となる数値でした。

財新記者:ご自身が感染したのも、その患者と関係があるのでしょうか?

李医師:その患者はもともと発熱をしていなかったので、私も油断して予防を怠っていました。その結果患者が移送された当日に咳が出始め、翌日には発熱を起こしました。この時ようやくN95マスクをつけて予防を行い始めました。

1月12日、呼吸器のウイルスを検査し、CT検査を受け、新コロナウイルスによる肺炎の可能性が高いということで入院することになりました。同じ科の同僚も私が入院してから1日か2日後に、両親は3、4日後に相次いで症状が出始め、入院することになりました。その後、私の病状は悪化し、現在は毎日抗生物質、抗ウイルス薬、グロブリン、酸素を注入しなければなりません。

財新記者:それらの治療費用は、ご自身で負担されるのでしょうか?

李医師:免疫グロブリン製剤は自費で購入しました。薬局から送られてくるものもあれば、同級生が買ってきてくれたものもあります。これまでで5~6万元(編集注:日本円でおよそ80万~95万円)は使いましたが、払い戻しが受けられるかどうかは分かりません。

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