新型肺炎を武漢で真っ先に告発した医師の悲運

12月に警告も、当局から処罰され本人も感染

李医師と共に注目を集めたのは武漢警察からデマを流布したと報告をされた8名の人物だ。彼らが調査を受けたという情報はすぐに中国中央テレビのニュースに取り上げられた。李医師は自分がその8人のうちの1人に入っているのかどうかは定かではないと話す。

財新記者は武漢公安当局の公式微博アカウント「平安武漢」による違法行為を行った8名を召喚したことに関する報告が、1月1日17時38分に行われていたのを発見した。

李医師が初めて派出所に出向いたのは1月3日午前だった。1月29日、武漢警察がこの件について2度目の報告を行った際も、李医師が訓戒の処罰を受けたということには触れていない。

李医師の他、財新記者はもう1人、微信のグループチャットにて警告を発し、スクリーンショットを転載された人物に連絡を取った。彼女もまた医師だ。この女性は氏名を知られたくないとの理由で財新記者のインタビューを拒んでおり、李医師と同様、“デマを流布した8名”の1人であるかどうかは判断できない。彼女は、「今大切なのは病院に物資を調達すること、この件については話したくない」と言う。

1月30日、李医師は実名で財新記者によるインタビューを受けてくれた。彼は遼寧省出身で、今年34歳になる。知り合いばかりのコミュニティや世渡りが好きではないとの理由で、南方の地方大学に通いたかったと言う。2004年に大学を受験し、「安定感のある分野を専攻したい」と、武漢大学の七年制の臨床医学学科に出願した。卒業後はアモイで3年間働いた後、2014年に武漢に戻り武漢市中心医院で働き始めて今に至る。

以下は、李医師と財新記者のインタビューだ。

ヒトからヒトへの感染は明らかに存在する

財新記者:現在の状況はいかがですか?

李医師:現在は集中治療室で治療を受けています。4人用の隔離部屋ですが、今は2人しか入院していません。外部とは携帯電話を使って連絡を取ることが出来ます。普段は医師と看護師が面倒を見てくれ、毎日看護師が顔や体を拭いてくれます。

今日(1月30日)、医師からの報告で核酸増幅検査の結果が陰性に転じていると聞きました。しかしこれは喉を検査しただけのものなので、肺胞の状況を判断できるものだとは思いません。肺機能が回復するにはある程度の時間が必要です。呼吸困難が起こる可能性があるだけでも高流量の酸素が常に必要ですし、食事もあまり多くは摂れません。

財新記者:みんな李さんがグループチャット内で言及した「7人のSARS患者」について注目しているようですが、当時の状況はどういったものでしたか?

李医師:約150人が参加している同級生間のグループチャットに送ったものです。その時は「他言しないように」とも強調しましたが、重視していたのは臨床業務に就いている人に予防を心がけるよう注意喚起することでした。私も同級生とのやりとりでこの件について知ったので、当時は患者がここまで多くありませんでしたが、アウトブレイクを起こすのが怖かったんです。このウイルスとSARSはとても似ていましたから。

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