ジョンソン首相は、移民制限や規制の独立性を確保しながら関税はほぼゼロ(撤廃率98%)というEU・カナダ間の包括的経済貿易協定(CETA)をモデルとした「カナダ型」のFTAを目指す方針を打ち出し、EUルールに従うことは拒否すると明言している。これが実現しなければ交渉打ち切りも辞さない構えだ。
仮にイギリスが交渉を打ち切れば、WTO(世界貿易機関)ルールの関税や通関手続きが発生する「合意なき離脱」に近い状況になる。一方、EU側のバルニエ首席交渉官は、イギリスのEU市場へのアクセスはあくまでEUルールへの準拠が条件との立場を繰り返しており、双方が妥協できるか予断を許さない状況だ。
交渉は「部分合意」の可能性が高い
第3のポイントは、想定される交渉のシナリオだ。大きく分けて4つある。①2020年末までに経済、安保面を含めて包括的な将来関係で合意、②物品のFTAなどに限って部分合意、③移行期間を延長して交渉継続、そして、④移行期間内に交渉がまとまらず「合意なき離脱」に至る最悪シナリオだ。
最も可能性が高いと見られるのが、部分合意だ。優先順位の高い物品のFTAなどで合意し、残りは移行期間終了後に協議を継続する形だ。FTA交渉には通常、数年かかることが多い。イギリスはこれまでEU内にいた分、一から交渉するケースと比べて交渉は容易との見方もあるが、2020年末までに包括協定を結ぶには時間があまりに短すぎる。
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