イギリスの総選挙と「ブレグジット」のゆくえ 12月12日に行われる総選挙が「分岐点」となる
2016年の国民投票における離脱多数という結果を受けて始まったBREXIT(英国のEU離脱)プロセスは、想定外の政治ドラマを生み出してきた。EU離脱のスムーズな達成を目指して行われた2017年の総選挙で保守党が過半数を喪失したこと、困難な交渉を経てようやく合意に至った離脱協定案が下院の採決において1度ならず3度にわたって否決されたことなど、英国政治はEU離脱問題をめぐって驚くべき展開を見せてきた。
EU離脱か否か、決着の時が近づく英国
国民投票で敗北したデイヴィッド・キャメロン首相の退陣に伴う保守党党首選挙において、不本意な形で出馬辞退に追い込まれたボリス・ジョンソンが、テリーザ・メイ首相の退陣によって実施された保守党党首選挙に圧勝し、首相に就任したことも想定外の事態かもしれない。
また、「合意なき離脱」も辞さない強硬な立場を公言するジョンソン首相の登場で難航不可避と見られた離脱交渉が、10月31日の離脱期限が迫る中で急転直下の形で妥結し、10月17日のEU首脳会議において新たな離脱協定案の合意に至ったことも驚きであった。
さらに、離脱協定案が議会で可決され、EU離脱をめぐる混迷に一定の決着がつくのではないかという期待が、離脱期限の再度延長を余儀なくさせる修正動議によって失われたことも、想定外のドラマだったといえるかもしれない。その結果、12月12日に実施される総選挙によって、英国政治の手詰まり状況が打開されるかどうかに注目が集まっている。
さて、ジョンソン政権発足からこれまでの状況について振り返ってみよう。7月末に首相に就任したジョンソンは、党首選挙において離脱協定の有無にかかわらず10月末の離脱期限を守ると公言していた。また、「合意なき離脱」も辞さないジョンソンの姿勢は、主要閣僚に強硬な欧州懐疑派を登用するなど新内閣の布陣にも反映された。
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