皆さんが憧れてるのは、安楽死じゃなく“安楽な死”。痛くない苦しまない死に方ですよね。それなら、もっと自然に逝ける尊厳死がある。皆さんいきなり安楽死に話が飛んで、ユートピアのように夢想している。でも尊厳死と安楽死はまったくの別物です。
尊厳死は、死期が近く、延命治療でなく自然な経過に任せてほしいと本人が望み、それをリビングウィル、生前意思として書く。そしてモルヒネ等による痛みの緩和に重点を置く。その結果が尊厳死です。安楽死は違います。死期は近くない、本人の希望で元気なうちに医者に“殺して”もらう。
尊厳死ができれば安楽死なんて不要
聖路加国際病院の名誉院長だった日野原重明先生も105歳で尊厳死されました。リビングウィルを書かれて延命治療を受けなかった。リビングウィルを書いて尊厳死ができれば、安楽死なんて不要なんです。私はこれまで、在宅医療で1200人以上お看取りした。みんな尊厳死です。尊厳死ならより長く生き、最後まで食べられてお話しができて、苦痛も少ない。
──確かに、発想が一気に安楽死へ飛んでいたかもしれません。
日本ではいじくり回すことが医療なんです。大学病院でもがんセンターでも、尊厳死はできない。全身に管をつながれて最期を迎える。自然死できない、させてもらえない国です。終末期の医療、延命治療で医者が従うのは学会のガイドラインであって、患者本人の意思じゃない。尊厳死ですらグレーの国。けったいな国なんです。
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