地球を席巻した人間を超える生命は生まれるか 生命の進化は自らをデザインする能力で決まる
生命をどのように定義するかという疑問は、激しい論争を呼ぶことで悪名高い。相異なる定義がいくつもあるし、細胞から構成されているといった極めて具体的な条件を含む定義は、未来の知能マシンや地球外文明には当てはまらないかもしれない。
単に「自身の複雑さを維持して複製できるプロセス」と、極めて幅広い形で生命を定義しておこう。複製されるのは物質(原子からできている)ではなく、原子の配置を規定する情報(ビットからできている)である。
細菌が自らのDNAのコピーを作るときには、新たな原子が作られるのではなく、新たな一群の原子がオリジナルと同じパターンに並ぶことで、情報がコピーされる。つまり生命は、情報(ソフトウェア)によってその振る舞いとハードウェアの設計図が決定される、自己複製する情報処理システムと捉えることができる。
生命を3段階に分けて考えてみる
この宇宙そのものと同様、生命も徐々に複雑で興味深いものに変わっていった(※)。そしていまから説明するとおり、生命は洗練度に応じて、ライフ1.0、ライフ2.0、ライフ3.0という3つのレベルに分類すると都合がいい。
この宇宙で、いつどこでどのようにして最初の生命が誕生したかはいまだ明らかでないが、地球上の生命はおよそ40億年前に出現したことを示す強力な証拠がある。それから間もなくして、地球には多種多様な生命形態があふれかえった。その中で成功したものがすぐにほかを圧倒し、何らかの方法で環境に対応できるようになった。
具体的に言うとそれらの生命形態は、感覚器で外界の情報を集め、その情報を処理して、どのように環境に反応するかを決定する、コンピューター科学者が「知的エージェント」と呼ぶものである。その情報処理の中には、あなたが目と耳から得た情報を使って、会話の中で何をしゃべるかを決定するといった、かなり複雑なものも含まれる。その一方で、極めて単純なハードウェアやソフトウェアしか必要としないものもある。
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