地球を席巻した人間を超える生命は生まれるか

生命の進化は自らをデザインする能力で決まる

AIがそのカギを握るかもしれない(写真:metamorworks/PIXTA)
超知能AI(人工知能)が出現したら何が起こるか――。AI開発の指針「アシロマAI原則」の取りまとめに尽力し、AI安全研究を研究するマックス・テグマーク氏が上肢した最新刊『LIFE3.0──人工知能時代に人間であるということ』の第1章「いまもっとも重要な議論へのいざない」から一部を抜粋してお届けする。

生命をどのように定義するかという疑問は、激しい論争を呼ぶことで悪名高い。相異なる定義がいくつもあるし、細胞から構成されているといった極めて具体的な条件を含む定義は、未来の知能マシンや地球外文明には当てはまらないかもしれない。

単に「自身の複雑さを維持して複製できるプロセス」と、極めて幅広い形で生命を定義しておこう。複製されるのは物質(原子からできている)ではなく、原子の配置を規定する情報(ビットからできている)である。

細菌が自らのDNAのコピーを作るときには、新たな原子が作られるのではなく、新たな一群の原子がオリジナルと同じパターンに並ぶことで、情報がコピーされる。つまり生命は、情報(ソフトウェア)によってその振る舞いとハードウェアの設計図が決定される、自己複製する情報処理システムと捉えることができる。

生命を3段階に分けて考えてみる

この宇宙そのものと同様、生命も徐々に複雑で興味深いものに変わっていった(※)。そしていまから説明するとおり、生命は洗練度に応じて、ライフ1.0、ライフ2.0、ライフ3.0という3つのレベルに分類すると都合がいい。

(※)なぜ生命は次々に複雑になっていったのか? 進化は、環境の規則性を予測して利用できるような複雑さを持つ生命に恩恵を与えるため、環境が複雑であればあるほど、複雑で知的な生命が進化する。その賢くなった生命はさらに複雑な環境を作り、競合し合う生命形態がさらに複雑に進化することで、やがて極めて複雑な生態系が形作られるのだ。

この宇宙で、いつどこでどのようにして最初の生命が誕生したかはいまだ明らかでないが、地球上の生命はおよそ40億年前に出現したことを示す強力な証拠がある。それから間もなくして、地球には多種多様な生命形態があふれかえった。その中で成功したものがすぐにほかを圧倒し、何らかの方法で環境に対応できるようになった。

具体的に言うとそれらの生命形態は、感覚器で外界の情報を集め、その情報を処理して、どのように環境に反応するかを決定する、コンピューター科学者が「知的エージェント」と呼ぶものである。その情報処理の中には、あなたが目と耳から得た情報を使って、会話の中で何をしゃべるかを決定するといった、かなり複雑なものも含まれる。その一方で、極めて単純なハードウェアやソフトウェアしか必要としないものもある。

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