1年半越しで結実、エドウイン再建案の行方 伊藤忠がスポンサーに決定、大手2行の出方がカギ

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エドウインは証券投資の失敗で債務超過の状態だが、本業のジーンズ製造・販売は赤字が続くリーバイスの日本法人や倒産が相次ぐ国内同業を尻目に、黒字を出し続けている。「米国本国の商品をそのまま投入するリーバイスと異なり、エドウインはマーケットをよく見ている。国内生産にこだわり、機能性やデザイン性を取り入れた商品開発で、競争環境の厳しいNB(ナショナルブランド)ジーンズの中で売れ行きは好調が続いている」(大手ジーンズ量販店)。

伊藤忠とエドウインは40年来の取引関係(撮影:今井康一)

40年来、素材を供給し続けるなどエドウインの主要取引先であった伊藤忠は、粉飾が発覚した2012年8月以降も手形の延長や在庫の買い上げなどを行い、エドウインの資金繰りをつないできた。

2014年2月6日に行われた債権者集会で伊藤忠が優先交渉権を獲得し、3月10日の同集会で正式にスポンサーになることに決まった。応札した企業の関係者は「資金力や取引量、過去のブランド再生の実績でも伊藤忠に軍配が上がった」と話す。

伊藤忠は今後、エドウインの素材の仕入れに全面的に関与しより低コストでの調達を進める。また中長期的には、EDWINブランドで主力のジーンズ以外にトップス(上着類)なども展開し総合ファッションブランドに育成するほか、伊藤忠が持つ世界的な販売網を活用し、これまで手薄だった海外展開も進める方針だ。

ADR成立は大手2行の債権放棄が前提か

ただ、事業再生ADRの計画実施には、全債権者の同意が必要。今後焦点となるのは、伊藤忠の掲げる支援計画案が全債権者の了承を得られるかどうかだ。

そもそもスポンサーの選定に、事件発覚から1年半以上もの期間を要したのは、「真相解明と債権者集会での議論が長引いたため」(債権者の地方銀行)。粉飾発覚の直前にモルガン・スタンレーMUFG証券からの紹介融資を受けて手痛い火傷を負った地方銀行や信用組合などの多くは、エドウインの不透明な証券投資と大手行主導の再建計画に不信を抱いていた。

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