1年半越しで結実、エドウイン再建案の行方 伊藤忠がスポンサーに決定、大手2行の出方がカギ

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今回の伊藤忠の支援案では、銀行団に230億円の債権放棄を要求し、伊藤忠が増資の引き受けや債務の肩代わりで300億円以上を出資するという話が、関係者の間では飛び交っている。

そろばんを弾く債権者たち

複数の銀行関係者の話を総合すると、3月10日の債権者集会で出た支援案は以下のようなものだったとみられる。債権者は大きく3層に分かれる。12.6億円未満の小口債権者は債権全額の一括返済を受けられる。12.6億円以上、数十億円未満の中口債権者(地方銀行など)は債権放棄か収益弁済(数年以上かけて債権を回収)かを選べる。数十億円以上の大口債権者(三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行など)は半額程度の債権を放棄するというものだ。

東京都荒川区にあるエドウイン本社(撮影:梅谷秀司)

東洋経済が入手した内部資料によると、2012年8月末時点のエドウインの債務総額は約600億円に上るが、そのうち三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行への債務は合計で約460億円と、大口の2行が大半を占める。その後、やや膨らんで、直近の2行合計は約500億円。2行はそのうち無担保融資分の半額程度、200億円強を債権放棄するという案になっているとみられる。

エドウインはデリバティブの含み損も含めると、2012年8月末時点の試算で500億円を超える債務超過の状況だが、200億円強の債権減免に加え、伊藤忠が300億円以上の出資を行うことで債務超過を解消できる算段になる。

小口債権者のある地方銀行の関係者は「うちは全額戻ってくると聞いて胸をなで下ろした」と話す。半ば回収を諦めていた十数億円の債権を持っていた地方銀行の関係者は「すでに全額、貸倒引当金を引当済みで、収益弁済を受けることになるだろう。エドウインのキャッシュフローは回っているので、再生がうまくいけば全額、債権取立益として計上できる可能性もある」と期待する。

上位2行ともがこの案どおりの債権放棄に応じるか否か。それが、伊藤忠傘下でエドウイン再建が進むための必要条件となる。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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