遺品整理のプロが見た悪質業者が跋扈する実態 現金や美術品などのお宝も掘り出されるが…

拡大
縮小

「遺品整理は儲かる、という概念が広まったことで、業者の数が飛躍的に増えました。遺品整理は基本的に無資格で別業態からの参入も可能です。大半は産廃業者やゴミ収集業者、リサイクル業者といった企業が事業の1つとしてやっていて、稼働をしていない業者も山程あります。それだけにノウハウがなく、遺族の気持ちを考えるという理念もないため、トラブルが発生しやすいともいえます。

大量に発生した廃棄物を適切に処理しない業者も増えているという(写真:屋宜明彦さん提供)

ただ、実際に法令順守をして儲かる業界かといえばそうでもない。ウチでいえば、売上げの3分の1強の廃棄物処理料金を支払っています。人件費などを入れた営業利益でいえば6%程度。儲けを出すために、不法投棄を行ったり、料金を釣り上げていく業者も少なくないため、悪評が流れている面もあるんです」(屋宜さん)

遺品整理のゴミは基本的には一般廃棄物に分類される。だが、業者の中には廃棄物としてではなく、一般ゴミとして処理を試みるケースもあるという。実際に千葉県のある遺品整理業者は、「すべてを一般ゴミとして取り扱うことは難しいが、基本的には一般ゴミと紛れさせてもバレるケースはほぼない」と話していた。市町村ごとに廃棄物の料金が異なることもあり、自分たちの専門性を利用し料金の釣り上げを試みる業者も存在する。

遺品整理で起きる3つの大きなトラブル

問題は、遺族の心理につけ込んだ犯罪行為が現在も平然と行われていることだろう。だが、依頼者側が泣き寝入りするしかなく具体的な解決策は見つかっていない。主なトラブルに以下の3つが挙げられる。

① 不法投棄 ②料金の釣り上げ ③金品の無断持ち出しという窃盗行為

とくに問題となっているのが、②と③だ。屋宜氏が解説する。

「いちばんわかりやすいのが、貴金属や現金などの窃盗行為です。遺族が立ち会わない現場では安易にそういった犯罪行為に手を染めるという例も聞こえてきています。悪質な業者になれば、遺族の立ち会いを拒否するケースもある。料金の釣り上げは、『廃棄量が多い』『想定外の仕事が増えた』などの理由をつけて見積書の金額の2倍、3倍の金額を請求されることを意味します。これがトラブルで最も多いケースです」

次ページトラブルを避けるためには?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT