遺品整理のプロが見た悪質業者が跋扈する実態 現金や美術品などのお宝も掘り出されるが…
遺品整理の現場では、現金や眠っているお宝の山々が発掘される。屋宜さんはこの3年間で実に1億円以上の現金を確認してきたそうだ。
「タンス預金という言葉がありますが、ご高齢の方は現金でお金を保管していたい傾向があります。多い家では、1件で800万以上の現金を回収したこともありますね。
お金の隠し場所はなかなか素人の方には見つけにくい。遺族の方が発見するのは非常に困難です。
遺族の中には、遺品整理にお金を払うことに難色を示す方もいらっしゃいますが、実際に行ってみると、現金や思い出の品などが次々に出てきて、『把握できていないものばかりだった。依頼してよかった』とお声をいただくことも多いんです」
発見されるのはもちろん現金だけではない。金・銀やプラチナ、小判、大判、貴金属など思いもよらぬ高級品が見つかるケースもある。中には絵画や掛け軸、骨董品といった素人では判断がつかぬ芸術品が紛れ込むこともある。ここで注意しておきたいのが、必ず正しい価値を分別できる専門業者の判断を仰ぐことだ。そういったプロセスを省くことで、巨額の金銭的な損失の可能性もあると屋宜氏は指摘する。
「実際の例でいえば、文化遺産に近い絵画と骨董品が整理の最中に出てきたこともあります。当然ですが、絵画や骨董品にも相続税がかかります。それを知らない場合、相続した遺族が、莫大な相続税を支払うというリスクを背負う可能性もありました。
そういった内容を遺族に相談した結果、美術館に寄付することにしたんです。
遺族の方は、『絶対に自分たちで判断できなかった』と話していました。小判や貴金属といった価値がわかりやすいものもあれば、本人にしか価値がわからないものもある。正しい知識を持つことで、こういった金銭面や相続のリスクを回避することはできます。もっとも、近年ではこういった消費者心理につけ込んだ悪徳業者の横行が目立っているのですが……」
遺品整理現場で起きているトラブルの実情
現在、遺品整理業界は過度期を迎えている。業者が急増したことにより、消費者とのトラブルが多く報告されているのだ。
独立行政法人「国民生活センター」にも年間100件以上の契約トラブルが寄せられている。屋宜さんが指摘するような悪徳業者の横行が目立つようになったのは、業界の認知度向上と比例して増加傾向にあるという。
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