日高屋「おいしくて安い」の先にある店舗戦略 稼ぎ頭は520円の「野菜たっぷりタンメン」

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そのほか、通常のちゃんぽんのほか、みそ、しょうゆ、ピリ辛など味のバリエーションを展開しているのも差別化要素として挙げられる。

とんこつちゃんぽん660円。スープに秘密があるという(筆者撮影)

実際に試食をしたところ、ちゃんぽんならではの、さまざまな具材が溶け込んだ奥行きのある優しい味がする。ちゃんぽんというと太い麵を思い浮かべるが、こちらの麵は普通のラーメンに近い見た目と歯ごたえだ。

うれしいのが、昨今のイカの値上がりに負けず、きちんとイカも入っているところ。ほかにエビ、アサリなどが見える。青野氏によると、いったんは「海鮮ちゃんぽん」の標榜を目指したとのことで、海鮮が自慢なのだそうだ。

立地特性は日高屋とは正反対に、大宮駅、最寄りの鉄道博物館駅からともに徒歩15~20分というところ。国道17号線沿いの、いわゆるロードサイド店だ。

大きな宣伝はしておらず、9月から始めたという公式ツイッターでの宣伝のみだったそうだが、オープン日には行列ができたほどの盛況ぶり。初日で50万円近くを売り上げたという。

今後は海外展開も視野に

2月には巣鴨にラーメン専門店、四谷に中華料理の「炒爆中華食堂 真心(シンシン)」をオープン予定。またパスタ業態も検討中とのことだ。パスタ業態を取り入れるとなると、同社では初めて女性路線への意識を感じさせる。

ハイデイ日高にて営業管理部を担当する青野敬成氏(筆者撮影)

また今後は海外への展開も視野に入れているそうだ。

「利益がいい時期に、将来の成長を見込んだ展開を広げていくというのが創業者でもある現会長がいつも言っていることです」(青野氏)

このように今後、大きな変化を感じさせるハイデイ日高。しかし変わるようでいて、実は一貫した大きな流れに沿った動きとも言える。というのも、同社は1973年、中華そば専門店「来々軒」からスタートし、全国のラーメンを集めた「ラーメン館」に移行した時期もあったが、結局はラーメンと中華料理の融合「日高屋」をメイン業態としてこれまで続けてきた。

その一方で、実は2006年に「焼鳥日高」の展開を始めており、この15年で年間2億円規模の利益を上げるようになってきている。「次の矢」をせっせと磨いでいると見るのが正しいようだ。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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