日高屋「おいしくて安い」の先にある店舗戦略 稼ぎ頭は520円の「野菜たっぷりタンメン」
ドミナント出店は、冒頭にも述べたように、ある特定の土地に絞って集中的に出店することにより、市場独占、知名度アップ、物流効率アップを狙うこと。日高屋は1都5県の駅前繁華街一等地への集中出店を行っている。
ここで、日高屋の人気メニューについて少し触れておこう。1番の売れ筋は数で言えば中華そばであるが、売り上げで1位を誇っているのが野菜たっぷりタンメン。
メイン客層は「駅前戦略」もあってサラリーマンだが、野菜たっぷりタンメンは男性にも女性にも人気の稼ぎ頭だ。あとは、生ビール、餃子。この4品は不動の1~4位を保っているとのことだ。
そして、期間限定商品として毎年冬期にお目見えするのがチゲ味噌ラーメン(630円)。特有のピリ辛と、みそに野菜の甘味が溶け込んだコクのある味がクセになるこのラーメン、多いときで日に1万食が販売されるという。
「グランドメニューに入れてくれというご要望が高いのですが、定番のラーメンに比べ、具材を鍋で調理するという点で手間がかかるのです。そのため今は限定でしかお届けできない状況です」(青野氏)
変化の時を迎えている、今
なお、同社では現時点では喧伝していないものの、ほぼすべての野菜について国産を使用している。
その他、仲間で理念を共有し、すべての店で均質な商品とサービスを提供する「直営店方式」など、老若男女に幅広く、安くておいしいものを提供する体制を整えてきた。グループとしては全体で600店体制を目指し、現在は438店舗を展開。うち、日高屋は403店舗だ(2019年11月末時点)。
このように、ラーメンチェーンのあるべきモデルを体現してきたかのような日高屋だが、今、変化の時を迎えている。
1つが、キャッシュレス化への対応。
「11月26日から開始し、12月26日で楽天以外のコード決済はそろった形です。当時はキャッシュレス決済額が5万円程度だったが、現時点で300万円近くに上っています。売り上げ規模からすると3%未満ではありますが、若い世代を取り込んでいくためにはキャッシュレス化は欠かせないと考えています」(青野氏)
もちろん、店舗での作業効率アップにも役立つ。青野氏によると、現金精算では1組の客に対応するのにだいたい25秒前後かかるが、キャッシュレスでは10秒程度で終わるそうだ。
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