ぶっちゃけ、ネットで政治は変わるのか? 家入流選挙が再定義した「対話の政治」

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「どうぞ、頑張ってください!! 皆さまの活動には、新しい息吹と政治への希望が感じられます」――。この文面は、告示から数日後に大手新聞社の女性記者から、取材連絡をする中で寄せられたメッセージだ。「家入戦法」が一部マスコミやネットで話題となったことは、読者の方でも見かけたのではないだろうか。

終始型破りだった家入氏。告示日の“第一声”も渋谷のカフェからツイキャス中継

家入陣営の何が「画期的」と思われたのか。それまでのネット選挙活動は「発信」主体だった。大手広告代理店への発注でコストをかけ、ビッグデータ分析で膨大な世論を拾い上げた自民党の取り組み自体は、一見、受信とはいえるが、あくまで演説や宣伝戦略など「発信」が主眼だ。

一方、家入氏は、選挙戦中にツイッターを活用して政策アイデアを募集。先にマニフェストを掲げて民意を問う既存の政治家とは、真逆の方法で公約づくりを行い、4万件近いツイートを集約・編集して120の政策に落とし込んだ。さらに、スマホを片手にツイットキャスティング(ツイキャス)による動画中継を行い、視聴者のコメントを拾うかたちで双方向での「演説」を行った。

連続起業家が打ち破った「カベ」

ネット選挙解禁時には、候補者と有権者のコミュニケーションが活発となり、政策論議が深まることも期待された。しかし参院選では、失言回避のために慎重だったのが実態だ。田中康夫氏の長野県知事選でのブレーンを務め、ネット選挙に精通した高橋茂氏は著書『マスコミが伝えないネット選挙の真相』(双葉新書)で次のように指摘する。

“「細かな政策的な論議は選挙前にしっかりやっておく」そして「選挙期間中は細かな政策の論議はしない」「差し障りのない選挙活動だけを流す」、これが今後、政党のソーシャルメディアの使い方のスタンダードとなっていくであろう。”

筆者も参院選の経験から似たような立場だった。その一方で、せっかくネットというコミュニケーションツールを活用しきれないことに、釈然としない思いもあった。凡才の私にはその解決策が思い浮かばなかったが、ジャスダック史上最年少の29歳で上場を果たした「連続起業家」の家入氏は、あっけなくその壁を打ち破った。

ニコニコ生放送の“政見放送”で堀江貴文氏と共演した家入氏。選挙戦序盤は事務所を置いておらず、2人で事務所用の法定掲示板を手にパフォーマンス

家入氏が参考にしたのは、ハンガリーのインターネット民主党(IDE)をはじめとする欧州のネット政党の活動。IDEは公約を持たず、市民の意見を徹底的に反映。議会に送り込んだ代表議員は、党内から抽選で選ばれ、それも一定期間ごとに辞職させて代表者を交代させる。すべてがネットを駆使して直接民主制を志向する運動形態らしい。

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